国内騒乱で非常事態宣言、夜間外出禁止

(エクアドル)

ボゴタ発

2024年01月12日

エクアドルのダニエル・ノボア大統領は1月8日、国際麻薬テロ組織「チョネロス」のリーダーのグアヤキル刑務所からの脱獄や、それに続く複数の刑務所での大規模な暴動による治安悪化を受け、60日間の非常事態宣言(大統領令110号)を発令した。これにより、午後11時から翌日午前5時まで国内全土で外出を禁止したほか、警察や国軍による捜査のため、集会の自由に関する権利や住居不可侵に関する権利の制限、刑務所内との通信制限などを規定している。

現地報道によると、少なくとも6カ所の刑務所で暴動が発生し、100人以上の刑務官の拘束や、収容者の逃亡が起きている。9日にはテレビ局のスタジオが武装集団に占拠される事件が起きるなど、治安の悪化が顕著だ。

ノボア大統領は8日にメディアに公表した動画内で「今起きていることは、私たちの法律が平和に暮らすために十分でないことの証左だ」「テロリストとは交渉しない。エクアドル国民全員に平和を取り戻すまで休むことはない」「政府はここ数年失われていた刑務所のコントロールを取り戻すための行動を起こした。これに対し麻薬テログループはわれわれを威嚇し、彼らの要求に屈すると信じている」などと述べ、犯罪組織との対決姿勢をあらわにしている。

現地の治安情勢を踏まえると、エクアドルへの出張などは当面慎重にする必要がある。在エクアドル日本大使館は、日中でも不要不急の外出を控え、安全の確保に特段の注意を払うよう呼びかけている。

(豊田哲也)

(エクアドル)

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