コンゴ民主共和国、チセケディ現職大統領の再選が確定
(コンゴ民主共和国)
アビジャン発
2024年01月15日
アフリカ中部のコンゴ民主共和国(DRC)で、2023年12月20日に実施された大統領選挙を巡り、同国の憲法裁判所は2024年1月9日、フェリックス・アントワン・チセケディ・チロンボ現職大統領を勝者とする確定結果を宣言した。大統領の就任式は1月20日に挙行される予定だ。
憲法裁判所は、独立選挙管理委員会(CENI)が12月31日に発表した暫定結果について、選挙で最下位となったテオドール・ンゴイ候補による「不正に彩られた選挙の無効」を訴える異議申し立てを却下し、チセケディ現職大統領の再選を承認した。
憲法裁判所が発表した最終結果によると、26人の候補者で争われた大統領選挙は、チセケディ現職大統領〔民主社会進歩連合(UDPS)党首〕が73.47%を獲得した。有力候補とみられていた次点のモイーズ・カトゥンビ前カタンガ州知事〔共和国のための統一(Ensemble pour la République)党首〕の得票率は18.08%だった。続いてマルタン・ファユル〔公民権・開発の誓い(EciDé)党首〕が4.92%、アドルフ・ムジト元首相(Nouvel Élan党首)が1.13%を獲得した。ノーベル平和賞受賞者のデニ・ムクウェゲ医師(無所属)を含む他の候補者の得票率は、すべて1%に達しなかった。
投票日には、各地で投票の開始の遅れや投票用機器の不具合、停電などが相次ぎ、締め切り時間までに投票できない人が続出し、一部で翌日以降も投票が継続されるなど、多くのトラブルが報告された。野党勢力は、選挙に不規則があったとして支持者に対して抗議するよう呼びかけていたことから、開票結果をめぐる混乱も懸念されていたが、これまでのところ大きな抗議行動はみられない。
チセケディ大統領の勝利は、野党側が明確な政策方針を打ち出せず支持者層を動員できなかったことや、野党が結束できずに票が割れたことも一因として挙げられる。
同大統領は、軍隊の戦力増強、社会経済開発の促進、無料教育、国民皆保険、インフラ整備の推進を公約に盛り込んでおり、2期目の優先課題として、国民融和とともに、選挙の争点だった治安回復、経済活性化への取り組みを重視している。アフリカ有数の資源国である同国は、資源需要の高まりを背景にマクロ経済は成長を続けているが、国民の多くが貧困にあえぎ、東部では武装勢力との紛争も続いており、課題が山積している。
米国は1月11日、投票の技術的な問題を指摘しながらも、チセケディ大統領の再選を祝福する声明を発表した。
(渡辺久美子)
(コンゴ民主共和国)
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