愛媛県、タミル・ナドゥ州と経済協力の覚書締結
(インド、愛媛)
チェンナイ発
2024年01月29日
愛媛県は1月22日、インドのタミル・ナドゥ(TN)州に経済交流ミッション団を派遣し、経済協力に関する覚書を締結した。同ミッションは、中村時広知事や高山康人県議会議長、愛媛県商工会議所連合会の高橋祐二会頭ら、行政と議会、産業界に大学などを加えた70人が参加し、「産官学のチーム愛媛として連携し、インドとの経済交流を強化する」(中村知事)と、オール愛媛でTN州との交流に取り組む考えを示した。
県はTN州政府のガイダンス(投資誘致機関)との覚書を通じて、愛媛県企業の進出支援、技能実習生やITエンジニアなどの人材交流の促進、教育機関の留学生や研究者の人材交流などを進める。
TN州を代表してあいさつしたT・R・Bラジャア州工業相は、TN州は日本の古くからの友人だとして、ミッション団の来訪を歓迎した上で、かんきつ類の生産技術や水産業の鮮度保持技術の交流に関心を示した。また、学生などとの交流についても積極的に取り組みたいと述べ、ビジネスだけでなく、人的交流についても歓迎する意向を表明した。
中村知事は、インドという大きな国に対してどの地域とどのような交流を行うか絞り込みが重要と指摘。成長率や産業構造、人口、社会インフラなどから、TN州が協力に最適と判断したと説明し、インドとの交流について数年前から入念に検討してきたことを明らかにした。
同県のビジネス代表団を率いた高橋会頭は「自動車の販売台数やTN州の1人当たりGDPなど、経済水準は約30年前の中国とほぼ同じ。今後、中国がたどった成長と同様の成長が期待できるのではないか」として、インドの成長力を取り込んでいく機会があるとの認識を示した。
インド南東部に位置するTN州は、地理的に日本や東南アジアからインドへの入り口に位置するとともに、インド第2位の州別GDPという経済力、タイやベトナムに匹敵する人口に加えて、現地の温厚で誠実な気質が日本の製造業などから好意的な評価を受けている。日本の地方自治体では、2023年11月に広島県が覚書を更新(2023年12月6日記事参照)、1月には高知県が覚書を締結(2024年1月16日記事参照)するなど、連携を強化している。
(白石薫)
(インド、愛媛)
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