中東(西アジア)の経済成長率、2024年2.9%、2025年3.7%、国連予測
(中東、サウジアラビア、トルコ、イスラエル、アラブ首長国連邦、イラン、イラク、カタール)
調査部中東アフリカ課
2024年01月09日
国連経済社会局は1月4日に発表した報告書「2024年の世界経済情勢と展望」で、中東(西アジア、注)の経済成長率は、2022年は6.5%、2023年は1.7%、2024年は2.9%になるとの予測を示した。今回の成長率は2023年中期時点の報告から2023年が1.4ポイント、2024年が0.4ポイントの下方修正で、中東経済が減速する予測となっている。一方、2025年の成長率は3.7%と持ち直す見込みとしている。なお、同報告書によると、世界経済の成長率(推定値)は2022年に3.0%だったが、2023年に2.7%、2024年に2.4%へと鈍化するという。
2023年の経済成長率を国別にみると、サウジアラビアなどの産油国は、石油減産と石油価格の下落によって成長が停滞するとの予測だ。また、イスラエルではハマスとの衝突の影響、トルコでは地震の影響を受けて成長が減速したという。中東主要国の2023年の経済成長率(推定値)と2024年の成長率予測値(かっこ内)は次のとおり。
- サウジアラビア:0.0%(3.2%)
- トルコ:3.5%(2.7%)
- イスラエル:1.8%(2.8%)
- アラブ首長国連邦(UAE):2.7%(3.7%)
- イラン:3.0%(2.4%)、※同報告書では南アジアに分類
- イラク:マイナス3.5%(2.5%)
- カタール:2.3%(2.2%)
2023年の中東(西アジア)の1人当たりGDPは前年比0.2%増の1万2,889ドルとなり、世界全体の1万1,409ドルを上回った。また、2023年の中東(西アジア)の消費者物価上昇率は、石油・ガス輸出国で前年比3.1%だったが、石油・ガス輸入国では41.2%と高騰した。特にレバノン(230.4%)、トルコ(55.2%)、シリア(37.7%)の上昇率が高かった。
(注)同報告書での西アジアの分類は、バーレーン、イラク、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、イエメン、イスラエル、ヨルダン、レバノン、パレスチナ、シリア、トルコの14カ国・地域が含まれる。同報告書の分類ではイランは南アジアに含まれる。
(井澤壌士)
(中東、サウジアラビア、トルコ、イスラエル、アラブ首長国連邦、イラン、イラク、カタール)
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