米USTR、コールセンター事業所での労働権侵害の疑いでメキシコ政府に確認要請

(米国、メキシコ)

ニューヨーク発

2024年01月23日

米国通商代表部(USTR)は1月19日、顧客関係管理サービスなどを提供するスペイン企業アテントのメキシコ関連会社アテント・セルビシオス(Atento Servicios)で労働権侵害の疑いがあったとして、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)が定める「事業所特定の迅速な労働問題対応メカニズム(RRM)」に基づき、メキシコ政府に事実確認を要請したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同国イダルゴ州パチューカに所在するアテントのコールセンターサービスの事業所が対象となっている。

RRMは、事業所単位で労働権侵害の有無を判定する手続きで、違反が認められれば、USMCAによる特恵措置の停止といった罰則が適用される。RRMの手続きは、USMCA加盟国政府が独自に発動できるが、労働組合などの第三者機関が加盟国政府に労働権侵害を申し立てることも可能だ。USTRの発表によると、今回はメキシコ電話労働組合(STRM)が申し立てた。アテント・セルビシオスの事業所で組合活動の妨害や、STRMを支持する労働者の不当解雇などがあったとしている。事実確認の要請を受けたメキシコ政府はUSMCAに基づき、調査を行うか否かを10日以内に返答しなければならず、調査を行う場合には45日以内に完了する必要がある。

米国がRRMを発動するのは2024年に入って初めてで、USMCA発効からは合計で19件目となる(添付資料参照)。電気通信分野でのRRM発動は今回が初となった。2023年までに発動された18件を産業分野別にみると、自動車産業が8割以上を占めている(自動車産業を中心に北東部とバヒオブラック)。

(甲斐野裕之)

(米国、メキシコ)

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