電気自動車購入に係る新たな企業向け補助金を発表
(ハンガリー)
ブダペスト発
2024年01月16日
ハンガリーのエネルギー省は1月5日、EUの復興レジリエンス・ファシリティ(RRF)を原資に、企業向けにバッテリー式電気自動車(BEV)購入のための新たな補助金を開始すると発表した。
同補助金は、乗用車、バン、ミニバスが対象。バッテリー容量によって、1台当たり280万~400万フォリント〔約112万~160万円、1フォリント=約0.4円(1月12日ハンガリー国立銀行為替レート)〕が付与される。また、補助金の対象となるBEVの台数も企業の規模によって異なり、従業員が10人未満の企業は1台、10人から49人の企業は5台、50人から249人の企業は10台、250人以上の従業員を抱える企業は16台まで補助が可能。
補助金は、ハンガリーに本社を持つ企業、または欧州経済領域(EEA、注1)に本社を持つ企業でハンガリーに支店を持つ企業、個人事業主(自動車ディーラー、レンタカー会社を除く)が利用可能。購入する車は、新車のBEV(ハイブリッド車は不可)でなければならない。
補助金申請の受け付け期間は2024年2月5日~2025年3月31日(注2)。政府は、この補助金による電気自動車市場のさらなる活性化を目指している。
乗用車市場は4年連続で縮小、電気自動車はシェア拡大
ハンガリーの民間調査会社データハウスによると、2023年の乗用車新車登録台数は10万7,720台にとどまり、2022年の11万1,540台を3.4%下回った。ハンガリー自動車輸入業者協会(MGE)によると、2023年のハンガリー乗用車市場の縮小は、2023年前半のサプライチェーンの混乱による納期の遅れや高インフレに伴う価格上昇、金利の高さという環境が主な原因になったという。
一方、電気自動車(EV)の勢いは止まらず、2023年のBEVの乗用車新車登録台数は前年比23.3%増の5,807台(シェア5.4%、添付資料図参照)、プラグインハイブリッド車(PHEV)は13.7%増の5,546台(5.1%)となった。MGEは、BEVとPHEVを合わせると乗用車新車登録台数の10.5%を占め、EU加盟国の中ではいまだに低いものの(注3)、中・東欧地域としては十分な数字を達成したと評価した。またMGEは、ハンガリーのEV市場は国の補助金によって2024年にさらに大きく成長すると予想している。
(注1)EU加盟国とノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン。
(注2)前回(2021年)のEV購入補助金は非常に短期間で予算を使い切ってしまったことを考慮すると、今回は早めに補助金を申請する必要がある。
(注3)欧州自動車工業会(ACEA)の2023年12月20日発表によると、EU加盟国(マルタを除く)の2023年1~11月の乗用車新車登録台数のうち、BEVは14.2%、PHEVは7.7%を占めた。
(バラジ・ラウラ)
(ハンガリー)
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