米墨、不法移民問題に関する共同声明を発表、アダムスNY市長は移民バスの報告を義務付け

米国ホワイトハウスは2023年12月28日、米国への移民に関して、メキシコとの共同声明を発表した。発表で両国は、秩序ある人道的で規則正しい移民を促進するこれまでのコミットメントを再確認した。両国はまた、国境を共有する重要な2国間貿易を維持・促進することの重要性についても合意した。米国国務省のアントニー・ブリンケン長官は12月27日、国土安全保障省のアレハンドロ・マヨルカス長官、ホワイトハウスのリズ・シャーウッド・ランダル大統領補佐官（国土安全保障）らとともにメキシコを訪問し、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール（AMLO）大統領と会談していた。

米国は2023年末に多くの移民が流入したことから、当局担当者の再配置のため、メキシコからテキサス州にまたがるいくつかの鉄道の踏切と、アリゾナ州にある通関手続き所などを一時的に閉鎖していた。だが、この決定は米国とメキシコのビジネスを混乱させることとなった。メキシコのアリシア・バルセナ・イバラ外相は「国境通過を再開することの重要性はわれわれにとって優先事項だ」と早期再開を促すコメントを述べていた（「ニューヨーク・タイムズ」紙電子版12月27日）。その後、税関・国境警備局（CBP）は2024年1月4日にメキシコとの国境にある4カ所の検問所を再開した。

NY市などが連邦政府に支援要請、独自の規制も

メキシコに隣接するテキサス州に着いた移民の多くは、同州のグレッグ・アボット知事（共和党）の指示により、バスに乗せられてニューヨーク（NY）市、シカゴ市、デンバー市などに移送されている（2023年11月22日記事参照）。こうした状況に対し、NY市のエリック・アダムス市長（民主党）、シカゴ市のブランドン・ジョンソン市長（民主党）、デンバー市のマイク・ジョンストン市長（民主党）は12月27日、全米の亡命希望者を管理するための追加支援を連邦政府に求めた。

またアダムスNY市長は同日、他州から市内に到着する移民を乗せたチャーターバス会社に対し、到着の32時間前に通知することを義務付け、移民を降車する時間帯（午前8時30分～正午）や、到着場所を限定する行政命令を出した。同市長は出演したテレビ番組で、「先週は1日に14台のバスが到着した。1週間に4,000人近くが流入していることを考えると、移民や亡命希望者だけでなく、NY市民にも負担がかかっている」と発言した。NY市に到着した難民は16万1,000人を超えたとし、そのうち半数は市の救済措置を完了できたとしたが、同じ規模で次々と移民が流入してくる現状を訴えた。

（吉田奈津絵）