イコニーなどドイツの4社、ルール地方に水素クラスター構築の実現可能性を調査

(ドイツ)

デュッセルドルフ発

2024年01月19日

再生可能エネルギー関連事業を手掛けるイコニー(Iqony)など、ドイツ企業4社は1月8日、ドイツ西部ノルトライン・ウェストファーレン州のルール工業地域に位置するベルクカーメンに水素クラスターを構築するための調査プロジェクトについて、覚書(MOU)を締結したと発表した。4社によるクラスターの中心の目的は、輸入アンモニアからの水素生成だ。4社は2024年6月末までに技術面と商業面での実現可能性を調査し、その後のプロジェクトの全体的な方向性を共同で決定する。

覚書を締結したのは、イコニー、化学品・薬品大手のバイエル(Bayer)、電力大手のエーオン(E.ON)、エーオンの地域電力子会社のベストエナジー(Westenergie)。プロジェクトは、計画からマーケティングまでの水素バリューチェーン全体を対象としている。プロジェクトの中心になるのは、水素エネルギーを輸送・貯蔵する手段(エネルギーキャリア)としてアンモニアを輸入し、水素を生成する可能性だ。生成した水素は、バイエルのベルクカーメン化学工業団地内の拠点のほか、同化学工業団地内の他社への供給も想定している。

エーオンはアンモニアの調達、物流、水素の販売を担当するほか、水素の用途拡大やマーケティングの可能性も調査する。イコニーはアンモニアの貯蔵、アンモニアクラッカー(アンモニアから水素を取り出すプロセスのための施設)の建設・運営、バイエルのベルクカーメン化学工業団地の拠点の準備監督などを担当する。また、同化学工業団地に水素を輸送するパイプラインの建設も計画の検討事項に含まれている。ベストエナジーはパイプライン建設について、技術的な実現可能性や認可手続きなどを調査する。

イコニーのアンドレアス・ライヒェル最高経営責任者(CEO)は今回のプロジェクトについて「ドイツ経済が脱炭素化のため今後必要とする水素の量は極めて大きくなるため、国内の再生可能エネルギーから生成する水素だけでは到底対応できない。ベルクカーメンの水素クラスターは、今後必要になる水素を安全かつ確実に供給できる輸入インフラの実現に貢献する」とコメントした。

(田村千尋)

(ドイツ)

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