北部バクニン省の日系廃棄物発電所が完工、地場との合弁

(ベトナム、日本)

ハノイ発

2024年01月19日

インフラやプラントなどの設計・建設・運営を行うJFEエンジニアリングなどは111日、ハノイ市に隣接するバクニン省に建設していた廃棄物発電プラントの完工式典を開催した。ダン・クオック・カイン天然資源環境相、八木哲也環境副大臣をはじめ、ベトナムと日本の政府、企業関係者らが参加した。

発電プラントの設備容量は11.6メガワット(MW)。1500トンの廃棄物焼却能力を有し、年間1億キロワット時(kWh)近い発電量を見込んでいる。運営は、JFEエンジニアリングと、リサイクル事業などを行う地場企業トゥアンタインエンバイロメントが2020年に合弁で設立したT&Jグリーンエナジーが行う。JFEエンジニアリングがプラントの設計・建設・運転サポートを担い、トゥアンタインエンバイロメントが許認可の取得や廃棄物の収集・運搬、焼却灰処理を担当する(2023年12月6日付地域・分析レポート参照)。

発電プラントは1月から一般廃棄物と産業廃棄物(いずれも固形廃棄物)の引き受けと試運転を開始しており、46月ごろに正式に操業する予定だ。このプロジェクトは、環境省の2021(令和3)年度「二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism:JCM)資金支援事業のうち設備補助事業」(注)にも採択されている。

バクニン省によると、同省では11,200トンの一般廃棄物と数千トンの産業廃棄物が排出され、年々増加しているという。ベトナムでは依然として、廃棄物の多くが埋め立て処理され、公衆衛生の悪化や環境汚染を引き起こしている。式典で同省人民委員会のダオ・クアン・カイ副委員長は、今後も廃棄物の焼却処分への移行と廃棄物発電を推進する方針だと語った。

八木副大臣は「本件は二国間クレジット制度を活用し、優れた技術をベトナムに持ち込むという日本の官民連携の優良事業だ。ベトナムの公衆衛生の改善、温室効果ガス削減、環境負荷の低減などにつながるだろう」と期待を寄せた。

JFEエンジニアリングの大下元(おおした・はじめ)社長は「これまで培ってきた当社のノウハウを生かし、プラントの維持管理と現地人材の育成を進める。ベトナムのモデルプラントを目指したい」と意気込みを述べた。

写真 式典の様子(ブラック ジャック ルール ディーラー撮影)

式典の様子(ジェトロ撮影)

写真 発電所の内の様子(ブラック ジャック ルール ディーラー撮影)

発電所内の様子(ジェトロ撮影)

(注)優れた脱炭素技術などを活用し、途上国などでの温室効果ガス(GHG)排出量を削減する事業を実施し、測定・報告・検証(MRV)を行う事業。途上国などのGHG削減とともに、JCMを通じてわが国とパートナー国のGHG排出削減目標の達成に資することを目的とする。優れた脱炭素技術などに対する初期投資費用の2分の1を上限として補助を行う。この事業はベトナム政府と日本政府の協力の下で実施されている。

(萩原遼太朗)

(ベトナム、日本)

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