バイデン米大統領、EU向け鉄鋼・アルミ232条関税除外措置の2年間延長の大統領布告発表
(米国、EU)
ニューヨーク発
2024年01月04日
米国のジョー・バイデン大統領は12月28日、鉄鋼・アルミニウム製品の米国への輸入に関する大統領布告を発表した(鉄鋼/アルミ)。これにより、1962年通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミ製品への追加関税の適用除外措置として、EUからの輸入に導入している関税割当(TRQ)を2025年12月31日まで延長した。
米国は2022年1月1日から2023年12月31日まで、EUからの輸入に対して、232条に基づく追加関税の適用を除外するTRQを導入することでEUと合意していた。具体的な品目と量は、鉄鋼では54の品目群で年間330万トンまで、アルミでは2つの品目群(未加工製品)で年間1万8,000トン、14の品目群(半加工製品)で年間36万6,000トンまでと定めていた(米国、EUと鉄鋼・アルミ貿易で合意、追加21)。今回の大統領布告では、この期限を2年間延長した。ただし、TRQの対象となる品目や量は変更しなかった。
商務省のジーナ・レモンド長官は大統領布告の発表と同じ28日、EUへのTRQ延長は「不確実で不利な経済状況から米国産業を守る」というバイデン大統領のコミットメントを強調するものとの声明を発表した。同長官はまた、鉄鋼・アルミ産業は「安全保障を堅持する上で極めて重要」とも述べた。米通商代表部(USTR)のキャサリン・タイ代表も「自国で鉄鋼・アルミニウム生産を維持することは、米国の安全保障にとって不可欠」として、鉄鋼・アルミ産業を重視する同様の声明を発表している。
EUは米国の発表に先立つ12月19日、追加関税に対抗して米国に課していた報復関税の一時停止措置を2025年3月31日まで延長すると発表していた(米USTRのタイ代表、ブラック)。その際、米国はEU向けTRQの延長手続きを2024年1月1日までに完了すると明らかにされていた。なお、EUの声明では「米国はEUの輸出者に対し、さらなる関税の適用除外の提供に合意した」とされていたが、今回の大統領布告では、TRQの対象は拡大されなかった。
(赤平大寿)
(米国、EU)
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