台湾総統選挙、民進党・頼清徳氏が当選、立法院の第1党は国民党
(台湾)
調査部中国北アジア課
2024年01月15日
1月13日に投開票が行われた台湾総統選挙において、与党・民主進歩党(民進党)の頼清徳氏・蕭美琴氏のペアが558万6,109票(得票率40.05%)を獲得し、当選した。投票率は71.86%となり、2020年の前回選挙(74.90%)を約3ポイント下回った。頼清徳氏・蕭美琴氏は2024年5月20日に総統・副総統に就任する。
同日に行われた立法委員選挙では、定数113議席のうち、国民党が52議席を獲得して第1党となり、民進党は51議席で単独過半数を獲得できなかった。民衆党は8議席、無党籍が2議席となった。
総統選各候補者の得票数は、最大野党の国民党の候補者、侯友宜氏・趙少康氏のペアは467万1,021票(得票率33.49%)、第3党として若者からの支持が高い台湾民衆党の候補者、柯文哲氏・吴欣盈氏のペアは369万466票(得票率26.46%)だった。
1996年に初の直接選挙が行われて以降、台湾では2期8年ごとに政権が交代してきたが、民進党は初めて3期目を担うことになる。民進党の得票率は、2016年選挙では56.12%、2020年選挙では57.13%といずれも5割を超えていたが、今回は40.05%にとどまった。立法委員選挙においても、過去2回はいずれも民進党が単独過半数を確保してきたが、今回は議席数で国民党に逆転されており、難しい政権運営を迫られる。
焦点の1つだった両岸関係について、民進党政権は「92年コンセンサス」を認めておらず、中国との対話がない状態が続いてきたが、頼清徳氏も「92年コンセンサス」には反対の立場だ。国民党・侯友宜氏は、民進党政権は両岸の緊張を高めていると批判し、「92年コンセンサス」を受け入れ中国との対話と交流を進めることにより平和と安定を追求すると主張していた。また、侯友宜氏は長期政権の弊害を指摘し政権交代の必要性を訴えたが、2023年11月には民衆党との野党連合が破談に終わったこともあり、支持を伸ばすことができなかった。
頼清徳氏は1月13日夜に行われた国際記者会見の場で、「今回の勝利には3つの重大な意義がある。第1に、台湾が民主と権威との間でわれわれは民主の側に立つことを選んだこと。第2に、台湾人民の行動が外部勢力の介入を防ぐことに成功したこと。第3に頼清徳・蕭美琴ペアが最も多くの支持を得たのは、台湾が正しい道を歩み続け、方向転換せず、過去には戻らないということの表れだ」と述べた。
頼清徳氏は政策として、国家希望工程を打ち出している(添付資料表参照)。基本的に蔡英文政権路線を踏襲し、外交では台湾と中国は互いに隷属しないとする「4つの堅持」により現状を維持するほか、経済ではグリーンエネルギーを推進し、内政では既存の社会保障を子供、介護、住宅のいずれの面でもさらに手厚くする、としている。
(江田真由美)
(台湾)
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