従業員数10人以下からの緊急ファンド申請が約7割、イスラエル・シンクタンク調査

(イスラエル)

テルアビブ発

2023年12月27日

イスラエルの非営利の独立系シンクタンクのスタートアップ・ネーション・ポリシー・インスティテュート(SNPI)は12月19日、イスラエル・イノベーション庁などの緊急ファンドに申請したスタートアップ600社を対象とした調査結果を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

SNPIの報告書によると、12月の第1週までに緊急ファンドに申請したスタートアップのうち、従業員数が10人以下の企業からの申請が約7割、軍事衝突前の資金調達額が500万ドル以下の企業からの申請が7割近くだった。設立年では、2016年以前に設立された企業からの申請が2割近くを占めた。

軍事衝突の影響については、「資金調達の困難」が4割近くに達し、「従業員の多くが予備役に招集」「イスラエル国内事業への影響」がそれぞれ2割強で続いた。資金調達が困難な理由として、軍事衝突後に投資家が契約を撤回、潜在的投資家との面談遅延、面談日程の調整困難などが挙がった。 軍事衝突前の資金調達額別に「資金調達が困難」と回答した企業の割合をみると、軍事衝突前に2,000万ドル以上を調達した企業では、約半数が調達困難と回答した。

「従業員の多くが予備役に招集」と回答した企業を従業員数別でみると、従業員数1〜5人の企業が37%を占め、6〜10人の企業が28%で続いた。

「イスラエル国内事業への影響」と答えた企業を分野別でみると、サイバー、Eコマース、ゲーム、エレクトロニクスでは影響があるとした企業はなかったが、エンタープライズソフトウエアとデジタルヘルスでは影響があると答えた企業の割合が高かった。「戦闘地域での事業活動」に影響が出ているとした企業は、フードテックで約2割に達した。

軍事衝突によるハイテク企業への影響に対処するため、イスラエル・イノベーション庁は資金がなくなるまでの猶予期間(ランウエー)が短い新興企業向けの資金提供プログラムを開始した(2023年11月22日記事参照)。さらに、軍事衝突による影響を受け、一定の基準を満たす新興企業に投資することを目的とした民間の「緊急ファンド」が幾つか設立されている。

イスラエルとハマスの衝突の詳細についてはジェトロの特集を参照。

(アンナ・ジュコブ、中溝丘)

(イスラエル)

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