ノースボルト、希少金属使用しないナトリウムイオン電池の開発発表

(スウェーデン)

調査部欧州課

2023年12月07日

スウェーデンのリチウム電池メーカーのノースボルトは11月21日、ナトリウムイオン電池を商品ラインに加えることを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同社によると、開発したナトリウムイオン電池はリチウム、ニッケル、コバルト、グラファイトなどの希少金属(レアメタル)を使用せず、世界市場に豊富にある鉄やナトリウムを使用している。従来のニッケルやマンガン、コバルト、リン酸鉄などを使用する電池よりも安全で費用対効果が高く、持続可能性があるとした。重量エネルギー密度は1キログラム当たり160ワット時(Wh)以上。

ペーター・カールソン創業者兼最高経営責任者(CEO)は今回の開発について、同社の市場提案で重要なマイルストーンであるだけでなく、このようなバッテリー技術は電化の費用対効果をより高く、持続可能な、かつアクセスしやすいものとし、世界の持続可能性の目標を達成する上で極めて重要とした。

同社は、今回開発した技術の低価格かつ高温での安全性という特徴は、インドや中東、アフリカなど成長が見込まれる市場でのエネルギー貯蔵方法として特に有望とした。また、現地で調達した資源を用いた製造も可能で、従来のバッテリーバリューチェーンから独立した新しい電池製造の道筋を提供できるとした。同技術は当初はエネルギー貯蔵に用いるが、将来的にはEモビリティーに活用する可能性を提示した。最初の試作品は2024年に一部の顧客に提供する予定。

同社は10月には英紙「フィナンシャル・タイムズ」(10月24日)で、ストックホルム証券取引所への上場を計画していることが報じられた。上場時期は早ければ2024年で、時価総額は約200億ドルになる可能性もあるとされている。

(牧野彩、篠崎美佐)

(スウェーデン)

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