TSMC、米アリゾナ州建築建設労組と雇用、安全確保などの枠組みに合意

(米国、台湾)

ロサンゼルス発

2023年12月13日

半導体ファウンドリー(受託製造)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の子会社TSMCアリゾナとアリゾナ建築建設労働組合(AZBTC)は12月6日、米国アリゾナ州フェニックス北部での半導体製造工場の建設に関して、協力の新たな枠組みについて合意した。

TSMCは総額400億ドルをかけて同州で半導体製造工場の建設を進めていたが、2024年の生産開始が見込まれていた第1工場については、労働者の確保や地元労働組合との関係構築などの課題に直面しており、生産開始は2025年前半とされている(2023年10月25日記事参照)。TSMC進出に合わせて同州に進出した複数の日系企業に行ったヒアリングでは、TSMC工場での生産開始が遅れることで、見込んでいた分の収益が上がらないといった声が聞かれた。

今回の合意は、現地労働者の訓練と能力開発、職場での労働者の安全、コミュニケーションチャネルなどの内容を含む。このうち、労働者の訓練と能力開発では、AZBTCは工場建設に十分な数の熟練労働者を採用し、TSMCアリゾナはAZBTCと提携して組合労働者の訓練プログラムとカリキュラムを開発するとしている。また、現場の安全へのコミットメントでは、TSMCアリゾナは安全性評価、監査、事故記録、改善計画に関して、AZBTCと透明性を維持するとしている。オープンなコミュニケーションでは、AZBTC、TSMCアリゾナ、請負業者それぞれが指定するメンバーで構成する委員会を設置し、四半期ごとに会議を開催するとしている。

TSMCアリゾナのブライアン・ハリソン社長は「AZBTCは、TSMCアリゾナにとって施設建設の重要なパートナーで、ともに新たな章に乗り出すことを楽しみにしている」と述べた。また、AZBTCは「合意はアリゾナの労働者とTSMCアリゾナの建設スケジュールにとっての勝利だ。われわれが一丸となって労働者を重視し、将来のスキルを開発することで、アリゾナ州が多くのものを得ることができることを示した」とのコメントを出している。

(堀永卓弘)

(米国、台湾)

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