米ニューヨーク市でカーボンテックの商業化支援プログラムの成果発表会開催
(米国)
ニューヨーク発
2023年12月11日
米国で二酸化炭素(CO2)に関連する技術(以下、カーボンテック)(注1)の商業化を支援するパートナーシップ「カーボン・トゥ・バリュー・イニシアチブ」〔Carbon to Value (C2V) Initiative〕は11月30日、ニューヨーク市で支援プログラムに参加したスタートアップの活動成果を発表するイベントを開催した。同イニシアチブは、ニューヨーク大学タンドン校工学部に設置されたスマートシティや、クリーンエネルギーなどのためのイノベーションハブであるアーバン・フューチャー・ラボ(Urban Future Lab)、北米最大級の気候テックインキュベーターであるグリーンタウン・ラボ(Greentown Labs)、実用化のための研究を担う非営利団体フラウンホーファーUSAが主催している。
今回の支援プログラムには、26カ国161社の応募から選ばれた8社のスタートアップが参加(注2)、技術の商業化やイノベーション推進時のリスク低減などを目指して、約6カ月間にわたりC2Vイニシアチブのカーボンテック・リーダーシップ協議会(CLC)に所属するBASFやジョンソン・マッセイ(Johnson Matthey)などの大企業、公的機関との交流が活発に行われた。同イニシアチブでは、2021~2022年の支援プログラムを通じ18社のスタートアップを支援し、これまでに150件以上の商談や7件の協業・連携を実現しており、今回の支援プログラムに参加するスタートアップの今後の成果が期待される。なお、同イニシアチブの2024年以降のプログラムは今後、ウェブサイトやニュースレターで発表される予定だ。
米国政府は2050年までのカーボンニュートラル実現を掲げ、2021年11月に成立したインフラ投資雇用法(IIJA)や2022年8月に成立したインフレ削減法(IRA)などを通じて、CO2回収・貯留(CCS)、CO2回収・利用・貯留(CCUS)によるCO2分離・回収、輸送、利用、貯留などの炭素管理技術や大気中から直接CO2を分離・回収する直接空気回収技術(DAC)の実証などを後押ししている()。回収したCO2の商業化につながるカーボンテックの登場が今後注目される。
(注1)CO2回収やその価値ある最終製品やサービスへの変換に関する技術のカーボンテックという。
(注2)3年目プログラムの参加スタートアップは、Capro-X、Capture6、Carbon To Stone、Dioxycle、enaDyne、Global Algae Innovations、Mitico(C-Questerから社名変更)、およびTerraFixingの8社。
(平本諒太)
(米国)
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