カナダ政府、COP28で温室効果ガス排出削減に向けた石油・ガス・メタン規制の強化を発表
(カナダ)
トロント発
2023年12月05日
カナダ政府のスティーブン・ギルボ環境・気候変動相は12月4日、アラブ首長国連邦(UAE)で開催中の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28、関連ブラック ジャック 必勝)のグローバル・メタン・プレッジ閣僚会議で、温室効果ガス排出削減に向けた石油・ガス・メタン規制の強化を発表した。
同日発表された規制案は2018年発表のメタン規制を改正するもので、石油・ガス業界における日常的なガス抜きやフレアリング(遊離天然ガスの焼却処分)を廃止し、漏洩(ろうえい)検知や修理を強化することで、大規模メタン放出などの問題への対処を提案している。施行されれば、2027~2040年までの累積排出量が二酸化炭素(CO2)換算で217メガトン削減可能となる試算だ。
メタンは強力だが比較的短命な温室効果ガス(GHG)で、二酸化炭素に次いで2番目に重要な温室効果ガスとされる。2021年のCOP26で発表された、2030年までに人為的なメタン排出量を2020年比で少なくとも30%削減するという「グローバル・メタン・プレッジ」()で、カナダでは2030年までに石油・ガスのメタン排出量を2012年比で少なくとも75%削減するという独自目標を設定しており(注目度高まる北米グリーン市場、その最前線はオンライン)、新規制が同目標達成に貢献するとみられている。同プレッジには、COP28時点で日本や米国、欧州、カナダなど累計150カ国以上が署名している。
ギルボ氏は「石油・ガス部門からのメタン排出量削減は、気候変動に拍車をかけている公害を削減する最も迅速かつ費用対効果の高い方法の1つだ。世界4位の石油・ガス産出国であるわれわれには、できる限りのことをする責任とノウハウがある」とコメントした。
なお、カナダは、2016年に始まったメタン排出に関する米国との協力に基づいて、北米全域で広範に整合のとれた規則を導入することに合意しており、カナダのアプローチは、形式的にも厳格さにおいても、米国のメタン規制とほぼ一致しているという。
カナダ環境・気候変動省は石油・ガス・メタンガス規制の草案作成に当たり、2023年12月16日から60日間、パブリックコメントを募集することを明らかにしている。
(飯田洋子)
(カナダ)
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