米ホワイトハウス、クリーンエネルギー経済構築への取り組みの進捗と効果発表

(米国)

ニューヨーク発

2023年12月21日

米国ホワイトハウスは12月19日、バイデン政権の取り組みに伴うクリーンエネルギー経済構築に向けた進捗と、これがもたらしている効果について発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。主な内容は次のとおり。

(1)クリーンエネルギー製造施設の建設に対する投資の増加

バイデン政権が誕生した2021年1月以来、民間企業がクリーンエネルギー製造、電気自動車(EV)・バッテリー、発電施設などの建設に3,600億ドル近く投資することを発表してきたこと、加えて、製造施設に対する建設投資が同時期に約2倍の増加を実現したと述べた。また、製造業に対する建設投資は2023年の最初の10カ月で27%増加し、他の非住宅建設投資(7%)と比較して、強力に成長したと主張した。

(2)クリーンエネルギー導入の加速

2022年8月のインフレ削減法(IRA)成立以降、太陽光発電モジュールの組み立て能力は100ギガワット(GW)を超えるものとなり、こうした製造能力の向上に伴って太陽光発電と風力発電の導入見込みが大幅に加速した。太陽光発電は2030年に338GWの予測で、2021年時点の予測の約2倍、風力発電は2030年に300GWの予測で、2021年時点の予測から43%増となったと述べた。また、系統蓄電池に関しては、過去1年間でエネルギー貯蔵量が2倍以上に増加し、2024年はさらに2倍に増加する見込みとした。加えて、EVに関しては、2021年以来、EVやEVバッテリーの製造に民間企業が1,500億ドル以上の投資を発表したほか、販売台数も2023年には平均で月産9万台を超えるなど、予想されていたペースよりも早く伸びていると述べた。

(3)クリーンエネルギーの導入による米国民への経済効果

クリーンエネルギーの導入により、次のことなどの利益を得られるとした。

  • 2030年までの温室効果ガス(GHG)排出量の削減量がIRAや超党派で成立したインフラ投資雇用法(IIJA)が制定される前と比べて2倍になる可能性がある
  • エネルギー安全保障・信頼性の向上やエネルギー価格の低下、原油価格の変動によるショックの軽減につながる

これに加え、クリーンエネルギーへの投資により、長期にわたり経済成長に貢献することができるとし、直近2023年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率(前年同期比3.0%)のうち、製造業関連の建設が0.3%ポイント(10%程度の割合)寄与したことや、クリーンエネルギーへの支出効果が化石燃料への支出の2倍に及ぶという研究成果を引きながら、その効果を強調した。

バイデン政権はIRAやIIJAなどによるクリーンエネルギーへの政策的支援の効果について、これまでも言及してきた(2023年10月24日記事参照)。その効果は今回発表したように、設備投資などで着実に表れ始めているが、各種政策支援に関しては、共和党の歳出削減要求や大統領選などの政治的リスクに、プロジェクトに関しては、高金利やインフレによる資材・人件費の上昇による採算性悪化の懸念などにさらされており、今後も想定どおりに伸びていくかどうかは予断を許さない。

(加藤翔一)

(米国)

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