英政府、電力ネットワーク改善計画を発表、送電網建設と再エネ接続の期間短縮目指す
(英国)
ロンドン発
2023年12月06日
英国政府は11月23日、英国における電力ネットワークの改善計画を発表した。送電インフラの建設期間および再生可能エネルギー(再エネ)の送電網接続期間の双方の短縮により、国産の再エネ供給の加速を目指す。政府は2021年10月に、2035年までに電力システムを脱炭素化する目標を発表しており(英政府、ブラック ジャック ブラック)、今回の計画がその目標達成に向け重要な役割を果たすとしている。
政府は、2022年6月にニック・ウィンザー氏(英国の非営利研究機関エネルギーシステム・カタパルトのチェアマン)を電力ネットワークコミッショナーに任命。2023年8月、ウィンザー氏による政府に対する、送電インフラの戦略的展開を加速させる方法についての提言・報告が政府ウェブサイトにおいて公表された。
今回、これに回答するかたちで、政府は「送電アクセラレーション・アクションプラン」を発表した。全体設計や規制および承認プロセスの改善などについて、政府は提言を受け入れ、全体の集中化や合理化などにより、送電インフラの建設に要する平均期間を現在の14年から7年に半減させる計画とした(注)。
あわせて政府は2023年11月22日、ガス・電力市場局(Ofgem、エネルギー部門の規制機関)と共同で「接続アクションプラン」を発表した。現状運用されている再エネなどの発電設備の電力系統への接続申請について「先着順」方式を解消し、接続待ちの原因となっている投機的なプロジェクトや、過度に進捗が遅いプロジェクトなどを取り除くとしている。さらに、戦略的に重要なプロジェクトについて、優先的に政府による支援を受けられるようにする「トリアージプロセス」を実施するとしている。これらの取り組みにより、現在の接続待ちの平均期間を5年から6カ月に短縮することを目指す。
英国の送配電事業者団体であるエネルギーネットワーク協会の最高経営責任者(CEO)ローレンス・スレード氏は「送配電事業者はこれまでもOfgem、ESO(電力系統運用者)と連携し、2023年には英国の最大需要電力に匹敵する50GW(ギガワット)のネットワーク容量を確保してきた。今回の発表された計画は、今後さらなる容量強化に資するだろう」と評価した。今回の計画により、政府は100GWのネットワーク容量の確保を目指すとしている。
(注)「ネットワークコミッショナーから政府に向けた提言・報告書」の図(Figure)4.6参照。
(菅野真)
(英国)
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