大統領選の決選投票でジョセフ・ボアカイ前副大統領が勝利
(リベリア)
アクラ発
2023年11月22日
リベリアで11月14日、大統領選挙の決選投票が実施され、国家選挙委員会はジョセフ・ボアカイ前副大統領の勝利を発表した。10月10日に実施された大統領選では、20人の候補者の中で、元プロサッカー選手で民主変革同盟に所属するジョージ・ウェア大統領と、野党・統一党のボアカイ氏がそれぞれ43.83%、43.44%の得票率を獲得したが、どちらも50%以上の得票を確保できなかったため、11月14日に両者による決選投票を実施したもの。決選投票での得票率はウェア氏49.36%、ボアカイ氏50.64%で、わずか2万567票差での政権交代となった。
リベリアは1989年以降、断続的に内戦が続き、2014年から2016年にかけてエボラ出血熱の流行にも苦しんでいたが、2017年の大統領選挙でウェア氏がボアカイ氏を破って勝利した。ウェア氏は大学の授業料無償化や公共インフラ開発などを実現してきたものの、政府の汚職やインフレ、食料安全保障、雇用、電力供給などの分野で改善が見られないことが指摘されていた。
今回の選挙は2003年の内戦終結後に派遣された国連平和維持軍の撤退後、初めての選挙だった。20日夜にボアカイ氏の勝利を祝う群衆に車が突っ込み、死傷者が出る事態が起きた一方、ウェア氏は「潔く敗北を受け入れるときだ」と述べ、政権移行に協力する意向を見せており、国際社会の評価も高い。ナイジェリアのボラ・ティヌブ大統領は、ウェア氏の譲歩によって社会・政治的危機が回避されたと称賛するとともに、西アフリカで近年、軍事クーデターが相次ぐ中、「西アフリカでは平和的な政権移行は不可能だという固定概念を覆した」と語った。また、米国政府も「ボアカイ次期大統領の勝利と、結果を平和的に受け入れたウェア大統領に祝意を表する」と声明を出している。
(数実奈々)
(リベリア)
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