ハイパーブラックジャック、米テキサス州ブラゾスバレー地域にビジネスミッション派遣、同地の産学連携の強みを紹介
(米国、日本)
調査部米州課
2023年11月21日
テキサス州はカナダを上回る経済規模で、全米一の人口増加率に加えて、法人所得税や個人所得税はゼロ(注1)と、税制面での優位性がある。こうしたビジネス環境が評価され、建設機械のキャタピラーが2022年に移転を発表しており(2022年6月28日記事参照)、多くの企業がテキサス州への本社機能移転、あるいは移転の方針を明らかにするなど、近年、投資先や米国内での事業再編先として注目が集まっている。
テキサス州経済の中心は、ヒューストン(全米都市別人口4位)と、サンアントニオ・オースティン(7位、10位)、ダラス・フォートワース(9位、13位)を結んだ「テキサストライアングル」と呼ばれる地域だ。今回訪問したブラゾスバレー地域はヒューストンから北西に車で1時間半ほどの距離にあり、このトライアングルの中心に位置する。中核をなすカレッジステーション、ブラアイアン両市周辺都市圏の人口は27万人を超える。同州最古かつ、州内で最大規模の研究開発費(約12億ドル)を有するテキサスA&M大学が立地し、全米最大の約7万5,000人を超える学生のうち工学系の学生が3割を占めることから、「将来のイノベーションハブ」とも言われている。参加企業は、現地にバイオ医薬品の開発・製造受託会社(CDMO)拠点を構える日系企業フジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズを訪問したほか、ブラゾスバレー経済開発公社、現地スタートアップなどと面談を行い、テキサス州で進出候補地を検討する上で重要となるビジネス環境に関わる情報や、産学連携に関する情報を収集した。また、テキサスA&M大学は、2023年6月に成立したテキサス州半導体法に基づき、先端研究開発施設の建設などを対象とした補助金の付与が発表されていることから、同大学での半導体分野への取り組みについての説明も受けた。
2日目の朝食レセプションでは、ジョン・ニコラス・カレッジステーション市長とジョージ・P・ブッシュ元テキサス州公有地管理局長から歓迎を受けた。ニコラス市長は「カレッジステーションはコミュニティとしてはまだ若く、成長の余地がある。テキサスA&M大学が有するグローバルなネットワークも強みだ」と語り、ブッシュ元テキサス州公有地管理局長はハイパーブラックジャックに対し、日米のみならず日本とテキサス州をつないでくれたことに感謝を示すとともに、市の潜在的成長性や、同校の持つ国防、工学に関する研究の将来性について説明し、日系企業との連携の重要性を訴えた。
ミッションに参加した企業からは、「テキサスA&M大学出身者同士が持つ、つながりの強さの理由を知ることができた」といった声や、「テキサスA&M大学と同大の学生の情報収集を目当てに参加したが、期待以上のものが手に入った。学生の数や質のほかにオースティンほどコストが高くなく、イノベーションにも強みがあることが分かった」「大学の企業連携担当と接点を持てた。自社で進める産学連携活動に生かせる」といった具体的なビジネスにつながる声もあった。
(注1)連邦税が州税とは別に課税されるほか、同州ではフランチャイズ税や資産税などが課税される。
(注2)ハイパーブラックジャックは、米国への進出や拠点拡大時、工場設立や研究開発拠点の設立における立地選定支援サービスを提供している。
(谷本皓哉)
(米国、日本)
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