EU、2022年のレアアースなどの重要原材料輸入、中国に大幅依存

(EU)

ブリュッセル発

2023年11月28日

EU統計局(ユーロスタット)は11月13日、2022年のEUのレアアース輸入が前年に比べて増加したと発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

EUで11月に暫定的な政治合意に達した重要原材料法案(EU、カード ゲーム ブラック)で「重要原材料」と定めるレアアース、マグネシウム、フェロニオブ(注)、ゲルマニウム、ホウ素、ガリウムなどについて、ユーロスタットは2022年の輸出入統計を分析している。ユーロスタットによると、EUはレアアース、マグネシウム、ゲルマニウム、ガリウムの輸入は中国に、フェロニオブはブラジル、ホウ素はトルコに大きく依存している(添付資料表参照)。

EUではホウ素を除く重要原材料について、2019年から2022年にかけて輸入量が拡大した。EU域内では重要原材料はほとんど採掘されておらず、加工も限定的で、EUはこれらの原材料を輸入に大きく依存している。欧州委員会は、欧州グリーン・ディールやデジタル化の実現に向け、重要原材料法案などを通じて、中国をはじめとした特定の域外国への過剰な依存の解消を目指している。ユーロスタットも、これらの重要原材料はネットゼロ産業(欧州委、ブラック ジャック 勝ち)や防衛分野など広範な戦略的分野に欠かせないと強調する。

さまざまなハイテク技術に利用され、供給断絶リスクが高いとされるレアアースについては、2022年のEU域外からの輸入量は前年比9%増の1万8,000トンに拡大した。一方、輸出量は前年比8%減の7,000トンに減少した。輸入量は2020年にわずかに減少したが、2021年には2019年を上回っており、拡大傾向を維持した。輸出量は2019年以降拡大していたが、2022年は微減に転じた。金額ベースでは、2022年の輸入額は前年比37%増の1億4,600万ユーロ、輸出額は前年比2%増の1億4,200万ユーロだった。レアアースの1キログラム当たりの平均単価は、輸入は7.9ユーロ(前年比26%増)、輸出は20.7ユーロ(11%増)だった。輸入相手を国別に見ると、中国が最大で40%を占め、マレーシア31%、ロシア25%、米国と日本がそれぞれ2%だった。

(注)フェロニオブは鉄とニオブの合金。EUの重要原材料法案では「ニオブ」が重要原材料に指定されている。

(大中登紀子)

(EU)

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