長安汽車のタイ工場が着工、同社初の国外工場

(中国、タイ)

調査部中国北アジア課

2023年11月20日

中国の長安汽車は11月9日、タイで同社初となる国外工場の定礎式を行ったと発表した。

同工場は2期に分けて建設される予定で、右ハンドルのバッテリー式電気自動車(BEV)や、レンジエクステンダー式車(REEV)、プラグインハイブリット車(PHEV)を生産する予定だ。第1期工場は年間10万台の生産能力を持ち、2025年に稼働を始める見込み。第2期工場が完成すると、年間生産能力が合計で20万台に及ぶ見通しとなっている。今回の投資額は88億バーツ(約378億4,000万円、1バーツ=約4.3円)で、現地メディアによると、第2期までには総投資額が200億バーツに上るという(「新華網」、11月8日)。同工場で生産した製品はタイ国内の需要に応えるだけでなく、オーストラリアやニュージーランド、英国、南アフリカ共和国など市場にも輸出される予定だ。

長安汽車の2023年1~9月の中国からの累計輸出台数は26万1,000台で、企業別にみると、中国では4番目に多い。長安汽車は国外展開を強化しており、2030年までに国外市場への投資額を100億ドル以上、年間販売台数を120万台以上にするという目標を掲げている。長安汽車は今回のタイでの工場着工について、同社のグローバル化戦略の中の重要なステップと位置づけている。

また、タイは中国にとって新エネルギー車の主要な輸出先となっている。2023年1~8月の中国の新エネルギー車の輸出先を見ると、タイは第2位にランクインした。中国の自動車メーカーによるタイへの投資も相次いでおり、2022年9月にはBYDがタイに工場を建設すると発表した。2024年に操業を開始する予定で、年間生産台数は15万台に及ぶ計画という。2023年3月には新興の電気自動車(EV)メーカーの哪吒汽車(NETA)がタイ工場の起工式を行った。年間生産台数は2万台で、2024年に操業を開始する予定だ。

(廣田瑞生)

(中国、タイ)

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