国連安保理、戦闘の一時休止と人質の即時解放求める決議採択
(イスラエル、パレスチナ、マルタ、ロシア、米国、英国、日本)
テルアビブ発
2023年11月17日
国連安全保障理事会は11月15日、イスラエルとハマスの軍事衝突に関する緊急会合を開催し、パレスチナ自治区ガザでの「緊急かつ延長された人道的な戦闘の一時休止」と人質の即時解放を求める決議第2712号を採択した。
決議案は非常任理事国のマルタが提出し、常任理事国では中国とフランスの2カ国が賛成、非常任理事国では全10カ国〔アルバニア、ブラジル、エクアドル、ガボン、ガーナ、日本、マルタ、モザンビーク、スイス、アラブ首長国連邦(UAE)〕の計12カ国が賛成した。常任理事国のロシア、英国、米国の3カ国は棄権した。
国連ニュース(11月15日)によると、決議では、安保理がガザで「十分な日数」の間、「緊急かつ延長された人道的な戦闘の一時休止と回廊」の設置を求めるとともに、ハマスなどによって拘束されている全ての人質の即時かつ無条件の解放を求めている。
棄権したロシアのワシリー・ネベンジャ国連大使は「人道的一時休止は停戦や休戦に取って代わることはできない」と述べ、米国のリンダ・トーマス・グリーンフィールド国連大使は「ハマスへの非難や、全ての国連加盟国が自国民をテロ攻撃から守る権利を再確認しない決議案に賛成できない」とした。英国のバーバラ・ウッドワード国連大使は「この決議は必要」としながらも、「決議案がハマスのテロ攻撃を明確に非難できなかったことを残念に思う」として、棄権した理由を明らかにした。
パレスチナ自治政府のリヤド・マンスール国連常駐オブザーバーは、安保理はもっと前に停戦を呼びかけるべきだったと述べた。
イスラエルのブレット・ジョナサン・ミラー国連常任副代表は、安保理はハマスの10月7日の「野蛮な侵略」を非難できていないと指摘するとともに、「(イスラエルの戦いは)報復やハマスの暴力への復讐(ふくしゅう)ではなく、イスラエルが自衛権を守り、このような惨劇が二度と繰り返されないようにするためのものだ」と述べた。
安保理での決議採択を受けて、上川陽子外相は15日に訪問先の米国サンフランシスコで行われた臨時記者会見で「(決議には)わが国がこれまで累次にわたって働きかけを行ってきた、人道的休止、人道回廊の設置や人質の即時・無条件の解放の要請、全ての当事者による国際法の順守といった内容が含まれている。本決議が採択に至ったことを歓迎するとともに、全ての当事者が本決議に基づき誠実に行動することを求める」と述べた。
イスラエルとハマスの衝突の詳細についてはジェトロの特集を参照。
(中溝丘)
(イスラエル、パレスチナ、マルタ、ロシア、米国、英国、日本)
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