経済諮問委員会が2023年経済成長率を下方修正、投資を促進する措置を提言
(ドイツ)
ベルリン発
2023年11月10日
ドイツ政府の経済諮問委員会(通称「5賢人委員会」)は、11月8日に年次報告書を発表した。年次報告書では、ドイツの2023年の実質GDP成長率はマイナス0.4%、2024年は0.7%と、いずれも3月予測(関連実写 版 ブラック ジャック)から0.6ポイント下方修正した。
ドイツ経済は、エネルギー危機と高インフレによる実質所得の低下により成長が抑制されていると分析。下方修正の主な要因として、インフレ対策のための金融引き締めと中国経済の成長鈍化が、国際貿易に悪影響を及ぼしていること、金利水準の上昇がドイツにおける投資と建設活動を抑制している点を挙げた。
同委員会は、消費者物価指数(CPI)上昇率を、2023年が6.1%、2024年が2.6%と予測した。なお、連邦統計局は11月8日、10月のCPI上昇率を前年同月比3.8%と発表した。9月のCPI上昇率は4.5%で、10月は2021年8月(3.8%)以来の低水準に達した。
加えて、同委員会は、今後数年間の成長を阻害する障壁として、人口の高齢化、生産性の伸びの低さ、時代遅れになっている資本ストック、スタートアップなど革新的な企業数の少なさを指摘。経済諮問委員会のモニカ・シュニッツァー委員長は「低迷する成長を回復させるには、ドイツは将来に投資をしなければならない。そのためには、イノベーションによる生産性の向上、資本形成、起業のダイナミズムの強化が必要。同時に、税による所得再分配システムと年金制度の改革も急務だ」と述べた。
また、十分に発達した流動性の高い資本市場は、低成長の克服と、デジタルトランスフォーメーション(DX)とグリーントランスフォーメーション(GX)への資金供給の核になると位置づけた。ウルリケ・マルメンディエ委員は「欧州の制度的枠組みは、ベンチャーキャピタルの定量的な投資限度額の緩和や出口戦略の選択肢を増やすことによって改善されるべき」と求めた。
ドイツ商工会議所連合会(DIHK)のイリヤ・ノトナーゲル理事は同日、経済諮問委員会の経済予測に対するコメントを発表した。会員企業を対象にした秋季景況感アンケート調査(関連オンライン カジノ ブラック)で国内の事業・投資の見通しが悪化している結果にも示されているとおり、「現時点では自律的な上昇の兆候はない」と指摘。「ドイツ経済が長期的な成長軌道に戻るためには、企業に直接的な効果をもたらす緊急対策が必要だ」と述べ、エネルギー価格の引き下げと、銀行による融資にかかる諸手続きの簡易化の必要性を強調した。
(中村容子)
(ドイツ)
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