NZ総選挙、公式結果が発表、中道右派の野党勝利で連立協議へ

(ニュージーランド)

シドニー発

2023年11月13日

ニュージーランドで10月14日に総選挙が行われ、在外投票など約60万票の特別投票分を含んだ公式結果が11月3日に発表された。選挙管理委員会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの発表によると、最大野党の国民党(中道右派)が得票率38.06%で、定数122のうち48議席を獲得し第1党となった。一方で、与党の労働党は得票率26.91%、34議席となり選挙前から28議席を失った。そのほか、緑の党が15議席、ACT党が11議席、ニュージーランド・ファースト党が8議席、マオリ党が6議席を獲得した(添付資料表参照)。

国民党は連立を予定している右派のACT党と合わせても59議席で、過半数の61議席に達成しないため、現地メディアは、中道のニュージーランド・ファースト党とも連立を組むと予測し、連立協議は数週間かかる可能性がある、と報じた。国民党のクリストファー・ラクソン党首が次期首相に就任すると、2017年以来6年ぶりの政権交代となる。ラクソン氏はニュージーランド航空のCEO(最高経営責任者)を7年間務め、2020年に政界入りした。ビジネスで実績を築いてきた同氏に、国内では経済立て直しの期待が集まっている。国民党は、政府支出の大幅削減、犯罪取り締まり、減税のほか、道路や公共交通などインフラ開発、貿易投資の推進、テクノロジーやイノベーションの推進などを選挙公約に掲げていた。

ニュージーランドの実質GDP成長率は、サイクロンなどの影響もあり2023年第1四半期(前期比)が2四半期連続のマイナス成長だった(第1四半期のGDP成長率、2期連続で前期比ブラック)。2023年第2四半期も前期比0.9%と国内の経済成長が鈍い。また、食料品、燃料、賃料など物価も上がっており生活費が高騰、犯罪も増加した。今後の経済先行きに対する国民の不安が募る中、労働党は支持を失った。

(青島春枝)

(ニュージーランド)

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