韓国系テントメーカーの大連拠点、日本向け輸出にも注力

(中国、韓国、日本)

大連発

2023年11月28日

中国大連市でテントを製造している筵安(大連)帳篷制作は、1991年に同市に進出した韓国系企業だ。長らく米国向けのOEM(注)がメイン業務だったが、2021年には日本向けOEM、2023年には中国向けOEMにも取り組んでいる。キャンプなどのアウトドアアクティビティーが人気を集めている中、ビジネス展開や主力製品のテント市場の動向などについて、同社の柳大成董事長に話を聞いた(11月20日)。

(問)大連拠点の経営状況は。

(答)進出当初の株主は韓国の大宇グループだったが、2007年に韓国延安アルミニウム製品に代わった。1992年に生産を開始して以来、2021年までは全て米国向けOEMだった。提携先には米国の有名なアウトドアブランドが多い。2021年からは日本の2社とも提携を開始し、2023年には中国の大手企業と協力関係を結んだ。いずれもOEMだ。2022年の同社の輸出額は2,100万ドル、うち米国向けが85%を占めた。

大半の原材料・部品は中国内で調達しており、調達先は25カ所に上る。テントの軽量性、耐久性、換気性などを実現するには、生地やポールといった原材料・部品が重要だ。中国のこれらの関連産業の発展は目覚ましく、とりわけ2010年ごろから急速に品質が向上している。2015年以降は低炭素型や循環型などハイレベルな素材の製造も可能となっている。

(問)貴社の強みは。

(答)テントの使用場面や気候に合わせたさまざまな機能やデザインの対応が可能なことだ。従業員250人のうち、勤務経験20年以上の熟練工が全体の7割を占め、安定的な製品品質が保証できる。また、社内に開発チームがあるため、委託元への提案設計も可能だ。

(問)テント市場の発展ポテンシャルは。

(答)新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)禍では、室内アクティビティーや国内外への旅行が難しく、アウトドアアクティビティーが注目された。国・地域別では、特に米国からの注文が殺到した。しかし、2023年に入って状況は一変している。米国各社は新型コロナ禍に市場拡大を見越してテントを大量に調達したが、同年には消費者マインドが軟化し、各社とも在庫処分に追われており、注文量の減少につながっている。さらに、デリスキリングの観点から、今後3年間かけて中国からの調達をやめるとした取引先が大半で、対応策として当社ではベトナム拠点の設立を検討している最中だ。

日本向けビジネスは円安の影響が大きく、輸入コストの上昇が原因で、日本から中国へのOEM発注を抑え気味だが、新商品の開発意欲は高く、今後は日本との協力関係をさらに強化していく方針だ。

また、中国のアウトドア用品市場が急成長していることから、中国大手企業との提携を皮切りに、中国市場のさらなる開拓にも積極的に取り組んでいく方針だ。

(注)original equipment Manufacturing(Manufacturer)。他社ブランドの製品を製造すること、またはその企業を指す。

(呉冬梅)

(中国、韓国、日本)

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