ベルリンで女性のスタートアップやイノベーションをテーマにした「Courage’23」開催

(ドイツ)

ベルリン発

2023年11月06日

ドイツ・ベルリンで9月28日、女性のスタートアップ創業者と投資家のネットワークであるエンカレッジ・ベンチャーズ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの年次イベント「Courage’23」が開催された。会場は、ドイツ銀行がイベントやコワーキングスペース、コーチングなどを提供するイノベーション拠点である、カルティエ・ツークンフト(Quartier Zukunft)。

エンカレッジ・ベンチャーズは、より多くの女性が起業家となることを後押しし、メンバー間で互いにサポートし合うことを目的に、2021年に設立された。創立者は、ドイツ大手システムインテグレーターSAPの元マネージャーで、エンジェル投資家のイナ・シュリー氏。このネットワークは、スタートアップのエコシステムと女性創業者の連携促進に多大な貢献をした、元連邦経済・エネルギー相のブリギッテ・ツィプリース氏や、ドイツ鉄道(DB)の貨物事業を担うDBカーゴのシグリッド・エブリン・ニクッタ取締役会会長など、トップレベルのビジネスウーマンに支えられている。

イベントのハイライトの1つは、ロベルト・ハーベック経済・気候保護相による連邦政府の将来ビジョンについての基調講演だった。基調講演で、同相は「企業文化は常に流動的で、多様な言説によって豊かになっている」と強調した。「(連邦政府が実施する)エクシス・ウーマン外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますおよびエンカレッジ・ベンチャーズのような女性起業家を支援するイニシアチブは、包括的で多様な企業文化を促進する上で特に重要だ。機会の平等とイノベーションに尽力すべき」と述べた。さらに、「連邦政府は女性に必要な経済的支援を提供するプログラムを実施しているが、その支援は、民間および機関投資家の責任でもある」と指摘した。

写真 (左から)ハイケ・マリタ・ヘルツナー教授(エンカレッジ・ベンチャーズ)、アンナ・クリストマン博士(ドイツ航空宇宙担当連邦政府コーディネーター、連邦経済・気候保護省)、ロベルト・ハーベック大臣、イナ・シュリー氏(エンカレッジ・ベンチャーズ)(©Encourage Ventures)

(左から)ハイケ・マリタ・ヘルツナー教授(エンカレッジ・ベンチャーズ)、アンナ・クリストマン博士(ドイツ航空宇宙担当連邦政府コーディネーター、連邦経済・気候保護省)、ロベルト・ハーベック大臣、イナ・シュリー氏(エンカレッジ・ベンチャーズ)(©Encourage Ventures)

ピッチセッションでは、5人の女性スタートアップ創業者が人工知能(AI)、ディープテックと社会的解決を図るインパクトの分野で革新的なソリューションを発表した。Devanthro外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、人工知能、拡張現実(AR)や5G(第5世代移動通信システム)によって制御される、人型ロボットアバターを開発している。go AVA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、テクノロジーと人間のインタラクション(相互のやりとり)における、デジタルコミュニケーションの障壁を取り除くことに取り組んでいる。N Robotics外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、カスタマイズ可能なロボットソリューションで、ロボット工学をより身近なものにすることを目指している。Phaeosynt外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、珪藻(けいそう)からビーガン抗体(動物由来成分フリーの抗体)を得ることに成功した。Staex外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、革新的で持続可能なソリューションで、IoT(モノのインターネット)管理に革命を起こすことを目指している。

その後も、エンカレッジ・ベンチャーズは多数のイベント開催および参加を行っており、欧州最大級のスタートアップイベント「スラッシュ」のドイツ版である「Slush’D」(10月19日ハイルブロンで開催)では、「女性の投資および創業」をテーマにしたワークショップを実施した。

(ダービット・インメ)

(ドイツ)

ビジネス短信 523491f1fd1efd8e