東南アジア6カ国のデジタル経済、最新見通し発表

(ASEAN、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)

シンガポール発

2023年11月06日

米国グーグル、シンガポール政府系投資会社テマセク、米国コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーは11月1日、東南アジア主要6カ国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)の2023年のデジタル経済の規模が前年比11%増の2,180億ドル〔流通取引総額(GMV)基準〕になるとの見通しを発表した。2023年以降2025年までの期間に年平均で16%成長し、2025年の市場規模は2,950億ドルと見込む。

市場規模見通しの対象となるデジタル経済は、(1)電子商取引(EC)、(2)旅行(航空、ホテルなど)、(3)食品(フードデリバリー)・運送、(4)オンラインメディア(広告、ゲーム、映像、音楽)の4分野からなる。2025年には、ECは1,860億ドル、旅行は430億ドル、食品・運送は310億ドル、オンラインメディアは340億ドルに達する。これらのうち、旅行、また食品・運送のうち運送は、2023年時点で新型コロナウイルス感染症拡大前の2019年水準(それぞれ321億ドル、78億ドル)を下回るが、2024年に同水準を上回ると見込まれた。

同調査は2016年に発表されて以降、今回で8回目となる。今回の調査では、売上高についても分析した。2023年の売上高は前年比23%増の700億ドルに達すると試算。GMVとともに成長を達成しており、「収益化と市場全体の成長が相反しないことを示している」とし、「デジタルビジネスは、東南アジアのデジタル経済の収益化に成功し、ユーザー獲得から既存顧客との関係強化へと移行している」とした。

デジタル経済関連セクターの民間資金調達については、2023年上半期で40億ドル(564件)と、2016年通年(50億ドル、811件)、2017年通年(90億ドル、858件)以来の低水準にあると指摘。「投資家が期待値を見直す中、デジタル関連企業は、より健全な長期的成長のために、より効率的な支出により、資金不足になるまでの期間を伸ばそうとしている」などとした。

(朝倉啓介)

(ASEAN、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)

ビジネス短信 26311cf76f4beb09