英政府、経済成長に向けた国内製造業支援を発表、中小企業支援も強化

(英国)

ロンドン発

2023年11月24日

英国政府は11月17日、経済成長や経済安全保障、地方部のレベリングアップ(地域活性化)の実現に向けた英国の戦略的製造セクター向け投資計画を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。総額約45億ポンド(約8,370億円、1ポンド=約186円)規模で、2025年から5年間にわたって適用する予定。

内訳として、自動車産業に20億ポンド、航空宇宙産業には9億7,500万ポンドが割り当てられ、ゼロエミッション車の製造や、サプライチェーン、研究開発、エネルギー効率の高いゼロカーボン航空機設備への投資を支援する。

クリーンエネルギー製造業を支援するための「グリーン産業成長アクセラレーター」には9億6,000万ポンドを割り当てる。具体的には、二酸化炭素(CO2)の回収・有効利用・貯留(CCUS)、電力ネットワーク、水素、原子力や洋上風力といった強靭(きょうじん)な国産クリーンエネルギーサプライチェーンの拡大に資する製造業を支援する。これにより、英国はネットゼロへの移行を通じて成長機会をつかむことができるようになるとしている。

さらに、ライフサイエンス関連の製造業に5億2,000万ポンドを割り当てる。これにより、将来の保健上の緊急事態に対するレジリエンス構築を目指す。

今回の発表は、11月末に開催される第2回グローバルインベストメントサミットに先駆けて発表された。同サミットでは、テクノロジー、サステナビリティー、ライフサイエンス、先端製造業、クリエーティブ産業などの分野で大きな投資機会を持つ英国各地の革新的な企業が紹介される予定。

さらに、中小企業の成長を促進するため、政府は現在一部地域に限定されている「メード・スマーター・アドプション・プログラム」を2025年から2026年にかけてイングランド全域に拡大し、2026年から2027年にかけて英国全域への拡大を検討するため自治政府と協力する。このプログラムはCO2排出量を削減し、生産性を向上させる高度なデジタル技術を中小製造業が利用できるように支援する。

このほか、バッテリー戦略も間もなく発表する予定とした。同戦略は、国際競争力のあるバッテリーサプライチェーンを実現するため、政府の対応を概説するとしている。加えて、政府は水素推進システムの製造への投資機会の最大化を支援する産業タスクフォースの設立計画も発表した。

(菅野真)

(英国)

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