米ボストンで洋上風力スタートアップの支援プログラム開催

(米国)

ニューヨーク発

2023年11月24日

米国ボストンに所在する北米最大級のクリーンテック・インキュベーターのグリーンタウン・ラボ(Greentown Labs)は11月16日、洋上風力関連スタートアップ支援プログラム「Go Energize 2023外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の一環として、スタートアップによるピッチイベントを開催外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

バイデン米政権は洋上風力発電に関して、2030年までに発電容量を30ギガワット(GW)まで拡大する目標()と、2035年までに浮体式洋上風力発電による発電容量を15GWまで拡大するとの目標(2022年9月21日記事参照)を掲げている。昨今のコスト高による影響は懸念されるものの、2022年8月に成立したインフレ削減法(IRA)による税制優遇措置の効果もあり、2022年には27億ドルの設備投資がされるなど(米エネルギー省、ブラック ジャック)、気候変動対策での洋上風力発電が注目されている。

「Go Energize 2023」はグリーンタウン・ラボに加え、米国初の大規模洋上風力プロジェクトのビンヤード・ウインド(Vineyard Wind)、ボストンが位置するマサチューセッツ州のクリーンエネルギー分野の公的機関マサチューセッツ・クリーンエナジーセンター(MassCEC)によって実施された。このプログラムでは、2023年6月に下記5社を支援スタートアップとして選定し、それらを対象に洋上風力産業の特性の理解や各種ステークホルダーとのネットワーキングを主眼としたワークショップが複数回開催された。

  1. ブルー・アトラス・ロボティクス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(Blue Atlas Robotics、本社:デンマーク):海中資産を点検・調査できる遠隔操作型潜水ロボットを開発。
  2. フューチャーオン外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(FutureOn、本社:ノルウェー):洋上風力のプロジェクト設計や関係者とのコミュニケーションのためのデジタルツインソリューションを開発。
  3. ハイパーケルプ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(HyperKelp、本社:米国カリフォルニア州):リアルタイムで海洋データを収集できるスマートブイ(浮き)を開発。
  4. ロブスター・ロボティクス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(Lobster Robotics、本社:オランダ):自律型潜水ロボットにより高精度の海底画像を収集し分析するソリューションを開発。
  5. シーディープ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(SeaDeep、本社:米国マサチューセッツ州):画像・映像データを基に海中環境や海底の構造をリアルタイムで分析できる人工知能(AI)を開発。

今回のイベントは、これらのスタートアップが同プログラムの締めくくりとしてピッチを行い、投資家や大企業にさらなる成長のための出資や、洋上風力発電の社会実装に向けた協業や連携を呼びかけるものだった。このうち、海底画像解析システムを開発するシーディープは、送電線など海底資産の保守運用を大幅に効率化・高度化する自社のソリューションをイベント参加者にアピールしていた。

「Go Energize 2023」以外にも、洋上風力事業者のエクイノールとbp、ニューヨーク大学などによって洋上風力スタートアップ支援プログラム「Offshore Wind Innovation Hub Cohort外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が2023年6~12月にニューヨークで実施中なことなど、洋上風力関連スタートアップの支援プログラムが相次いでいる。

(注)現実世界から収集したデータを用いて、仮想空間上に同様の環境を再現する技術を指し、シミュレーションなどに活用される。

(平本諒太、佐道美樹)

(米国)

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