イタリアのエネルギー大手ENIがバレン油田の本格操業開始、ネット・ゼロでの開発へ

(コートジボワール、イタリア)

アビジャン発

2023年11月30日

コートジボワールでは11月23日、同国史上最大規模のバレン油田の操業開始式典が開催された。また、イタリアの石油・ガス大手ENIは、同油田の開発における温室効果ガス排出に対して、同社が森林保護などにより温室効果ガスの排出削減に取り組むことでネット・ゼロ・エミッションでの開発を進めると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。

同油田は、ENIが2021年9月に、コートジボワールの南東部に位置するアッシーニ沖合約60キロの油田鉱区CI-101で発見した(2021年9月13日記事参照)。式典に参列したENIのクラウディオ・デスカルツィ最高経営責任者(CEO)は、2022年8月時点では日量1万5,000バレルだったが、本格的生産が開始された2023年8月以降、原油生産量が着実に増加しており、11月には日量2万バレルに達したことを明らかにした。

ENIは、同油田のポテンシャルと投資を最適化するため、段階的に開発を進めており、総額100億ドルを投資する見込みだ。開発の第2フェーズが完了する2024年末までに、日量5万バレルの原油と、日量7,000万立方フィートのガスを生産し、第3フェーズでは、原油生産を日量15万バレル、ガス生産を日量2億立方フィートまで引き上げる目標だ。

同鉱区の開発には、原油とガスを処理できる浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備(FPSO)が用いられ、原油は油井に直結したFPSOからタンカーに貯蔵した後、仕向け地まで輸送され、ガスは専用のパイプラインを通って地上設備に送られる。

デスカルツィCEOはバレン油田の操業について、新たに建設されるパイプラインを通じて供給されるガス生産の増加により、コートジボワールでは、エネルギーへのアクセスが強化され、公正なエネルギー転換の促進、地域のエネルギーハブとしての役割が強化されるとしている。同時に、アフリカで先駆的なネット・ゼロ・エミッションでの開発に取り組んでおり、環境に配慮したENIの戦略が投影された革新的なプロジェクトと評価した。

ENIはコートジボワールで他の鉱区権益も保有しており、2023年7月には、CI-101鉱区に隣接するCI-802鉱区で新たな原油およびガスを確認した。これにより、バレン油田の埋蔵量は、原油が20億バレルから25億バレル、ガスが2兆4,000億立方フィートから3兆3,000億立方フィートと、当初発表された埋蔵量よりそれぞれ約25%増加するとみられる。

(野澤俊明、渡辺久美子)

(コートジボワール、イタリア)

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