ジョージアのスタートアップ、日本市場への関心語る、実写 版 ブラック ジャックなどがセミナー
(ジョージア、日本)
調査部欧州課
2023年10月23日
実写 版 ブラック ジャックは10月16日、ジョージア・イノベーション・テクノロジー庁(GITA)、在日ジョージア大使館と共催で、ビジネスセミナー「ジョージア・イノベーション・デー」を東京で開催した。GITAのアウタンドリ・カスラゼ理事長による講演と、ジョージアのスタートアップ、イノベーション企業4社によるパネルディスカッションが行われた。日本側からは同国のIT産業に関心を寄せる約30社が参加した。
開会のあいさつで、ティムラズ・レジャバ駐日ジョージア大使は10月9日に両国政府間で情報通信技術(ICT)分野の協力覚書が署名されたことに触れ、デジタル分野の協力に一段と弾みがつくと期待を示した。実写 版 ブラック ジャックの前川信隆理事は、ロシアなどからのIT人材流入や周辺国と協力した物流ルートの開発を例に挙げ、ジョージアについて「地政学的にも重要」と指摘した。来賓として登壇した日・ジョージア友好議員連盟メンバーの平将明衆議院議員はスタートアップ育成5か年計画(注1)など、日本政府の取り組みを紹介した。
GITAのカスラゼ理事長によると、GITAはイノベーションビジネスを支援するために2014年に設立された政府系の機関で、これまでに1万人以上の個人へのICT教育の提供や、米国発のベンチャーファンド「500 Global」との連携、スタートアップ企業への3,200万ドルの投資などの実績がある。投資対象はジョージア企業に限らず、近隣諸国のスタートアップもアクセラレータープログラムに参加している。ジョージアは世界銀行のビジネス環境ランキングで7位、企業の税負担の低さでは3位と認定されている。特にIT企業には、個人所得税と法人税の税率の大幅な引き下げと、それ以外の税金の免除という優遇措置が提供される。外国企業が自国から招聘(しょうへい)した専門人材にも個人所得税の優遇が適用される。ジョージアはITエコシステムの発展に努めており、IT分野の輸出額は2021年の1億ドルから、2023年1~8月の10億ドルに伸びている。カスラゼ理事長は、日本企業もこの機会にジョージアに来てITビジネスを始めるよう呼びかけた。
スタートアップ、イノベーション企業4社によるパネルディスカッションでは、各社の代表が事業内容を紹介し、日本市場に対する関心を述べた。概要は次のとおり。
- Pulsar AIは、ジョージアのスタートアップの先駆的企業で、自動車業界向けの会話型の人工知能(AI)プラットフォームを開発し、2021年5月に米国企業に買収された。日本の複雑なランゲージモデルに関心があり、日本企業との連携の可能性を期待している。
- Biochimpharmは、大手バイオ医薬品会社で、バクテリオファージ(注2)を活用した新規抗生物質の研究と生産を行っている。日本で自社に合った戦略的パートナーを探している。
- Neuropilotは、アスリートの不安管理とパフォーマンス向上のための仮想現実(VR)プログラムを開発している。スポーツ産業が発達している日本で、チーム向けソリューションを提供したいと考えている。
- BiteriumAIは、健康状態をモニタリングして心疾患を予防するデジタルサービスを提供している。性能の高い日本製デバイスに同サービスを導入したい考えだ。
(注1)スタートアップを生み育てるエコシステム創出を目的に、日本政府が2022年11月28日に決定。a.人材・ネットワークの構築、b.資金供給の強化と出口戦略の多様化、c.オープンイノベーションの推進を3本柱とする。
(注2)細菌(バクテリア)に感染するウイルス。多くが細菌を殺す性質を持ち、抗生物質が出てくるまでは、これを活用した細菌感染症治療法の研究が盛んだった。近年、抗生物質が効かない耐性菌の出現が問題となり、細菌の天敵のバクテリオファージの活用が再び注目を集めている。
(小林圭子)
(ジョージア、日本)
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