ナカラ港改修が完了、落成記念式典を開催
(モザンビーク)
マプト発
2023年10月26日
モザンビークのナカラ港改修・拡張・近代化工事落成記念式典が10月7日、北部ナンプラ州の同港で開催された。同港はモザンビークに隣接した内陸国のマラウイ、ザンビアへと続くナカラ回廊の海側起点となっており、地域の物流拠点となることが期待されている。式典には、モザンビークのフィリペ・ニュシ大統領に加え、マラウイのラザルス・チャクウェラ大統領、ザンビアのハカインデ・ヒチレマ大統領も参加した。ニュシ大統領は、ナカラ港改修事業は地域経済の成長を促進する大きな可能性を秘めた事業だと強調した。3カ国の首脳は式典で、ナカラ回廊の運営と、国際競争力強化を目的とした回廊開発協定に署名した。
同港の改修は、総額約371億円の日本政府のODAプロジェクト(円借款事業)「ナカラ港開発事業」のほか、モザンビーク政府による港湾機材拡充などによって実施された。一連の改修事業により、同港の貨物取扱容量は年間10万TEU(1TEUは20フィートコンテナ1個分を指す数量単位)から25万2,000TEUに増加し、8,000TEU分の保管能力も増強された。
同港が位置するナカラ湾では、日系企業が参画する事業も実施されている。同港の対岸に位置するナカラ・ベーリャ港は、既にインドのジンダル・グループ傘下のブルカンに売却済みだが(2021年12月27日記事参照)、もともとはブラジルの資源大手ヴァーレと三井物産が石炭輸出拠点として開発したものだ。商船三井とトルコの複合企業カラデニズはナカラ湾の液化天然ガス(LNG)発電船事業も実施している。
式典翌日の8日には、港湾・鉄道管理会社のナカラ・ロジスティックスがナカラ市と州都ナンプラ市を結ぶ旅客鉄道を約30年ぶりに再開するなど、回廊機能の拡充は今後も進展していく見通しだ。
(松永篤)
(モザンビーク)
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