アルゼンチン国会議員選、自由至上主義を掲げる新興政党が大躍進

10月22日に行われたアルゼンチンの国会議員選挙で、ハビエル・ミレイ大統領候補が率いる「自由前進（LLA）」が大躍進した。LLAは自由至上主義（リバタリアニズム、注）を掲げる新興政党で、上院では８議席獲得（改選前議席ゼロ）、下院では38議席獲得（同3議席）を獲得した。

上院の定数は72議席で任期は6年。2年ごとに3分の1が改選されるため、今回のアルゼンチン国会議員選挙は8州24議席が改選の対象となった。また、下院の定数は257議席で任期は4年。2年ごとに約半数が改選されるため、今回は全州の計130議席が改選の対象となった。

上院は、中央部ブエノスアイレス州、北東部フォルモサ州、北東部ミシオネス州、北西部フフイ州、北西部ラ・リオハ州、西部サン・フアン州、西部サン・ルイス州、南部サンタ・クルス州の24議席が改選され、結果は添付資料表1参照。

与党連合「祖国のための同盟（UP）」は改選前と比べて12議席増やしたが、選挙が行われた州の多くは、伝統的に「ペロン主義」の与党連合が強い州だった。ハビエル・ミレイ大統領候補が率いる「自由前進（LLA）」は、これまで同党に所属する上院議員はいなかったが、予備選挙の勢いをそのままに、本選挙で8議席を獲得した。一方、野党連合「変革のために共に（JxC）」は、改選前と比べて9議席を失った。改選後の総議席数が最も多いのは34議席の与党連合UPだが、それでも改選前と同様、単独過半数（37議席）は確保できなかった。

下院の結果は、添付資料表2参照。

LLAは、中央部ブエノスアイレス州、同ブエノスアイレス市、同コルドバ州、同サンタ・フェ州、西部メンドサ州で多くの票を集めてJxCとUPの双方から票を奪ったが、特にJxCが大きく票を奪われた。改選後の総議席数が最も多いのは、108議席の与党連合UPだが、上院と同様に単独過半数（129議席）は確保できなかった。

（注）リバタリアニズムは、個人的な自由、経済的な自由の双方を重視する、自由主義上の政治思想・政治哲学。他者の身体や正当に所有された物質的、私的財産を侵害しない限り、各人が望む全ての行動は基本的に自由であると主張する。

（西澤裕介）