排出権取引市場が開業、潜在性は3,000兆ルピア(約29兆円)以上との試算も
(インドネシア)
ジャカルタ発
2023年10月04日
インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は9月26日、同国初となる排出権取引市場(IDXCarbon)の開業を発表した(IDXプレスリリース)。同市場はインドネシア証券取引所(IDX)が運営し、企業が排出権を相互に売買できる仕組みとなっている。
ジョコ大統領は開業発表の式典で、排出権取引の開始は世界的な気候変動対策への具体的な取り組みと述べたほか、インドネシアは自然を基盤とした気候変動対策の潜在性が高い国と説明。「私の試算では、潜在的な市場規模は3,000兆ルピア(約28兆8,000億円、1ルピア=約0.0096円)を超える」との見方も示した(「インベスター」9月26日)。
IDXによると、排出権取引所には排出量の削減義務もしくは自主的な削減意思を持つ企業が参加でき、参加希望の企業は排出権取引にかかる公式サイトでの登録が必要となる。また、既に環境・林業省の「気候変動対策国家登録システム(SRN-PPI)」に排出権を登録している事業の保有者も、同市場を通して排出権を販売することができる(「アンタラ」9月26日)。
排出権取引の開始初日の9月26日には計27回の取引があった。国営石油会社プルタミナの子会社プルタミナ・ニュー・リニューアブル・エナジー(PNRE)が売り出した北スラウェシ州ラヘンドン地熱発電所にかかる排出権など、二酸化炭素(CO2)換算で合計45万9,953トン分の排出権の取引が行われた。取引総額は約292億ルピアだった。(「CNBCインドネシア」9月27日)。
取引には、大手民間銀行バンク・セントラル・アジア(BCA)や、国営マンディリ銀行、CIMBニアガ銀行、BNI証券、BRIダナレクサ証券といった大手銀行や証券会社のほか、石油採掘を手掛けるパマプルサダ・ヌサンタラ、プルタミナの航空子会社ペリタ・エア・サービスなどが参加した(「コンパス」9月26日)。
(八木沼洋文)
(インドネシア)
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