米ホワイトハウス、労働力開発に関するプレイブック発表

(米国)

ニューヨーク発

2023年10月02日

米国ホワイトハウスは9月29日、労働力開発に関するプレイブックを発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。プレイブックは米国の労働力の質向上に向け、州や地方公共団体が労働力開発に関する取り組みを促進できるようにするためのガイダンスという位置づけだ。

バイデン政権は、ミドルアウト(中産階級支援による購買活性化)とボトムアップ(貧困層支援による下支え)による経済成長を掲げ、この実現に向けてクリーンエネルギーや半導体などの産業を税制面などで支援することを通じて、新たな雇用を創出してきた。こうした取り組みにより、製造業80万人分の雇用を含む1,300万人以上分の雇用を創出してきたとしている。同時に、単に雇用を創出するのみならず、労働力の質を高め、賃金や働き方などの雇用環境を適切に整えることで、生産性の向上や離職率の低下などにつなげていきたい考えだ。

同プレイブックでは、(1)登録アプレンティスシップ(RAP)制度(実習プログラム)の拡大、(2)コミュニティーカレッジへの投資、(3)支援サービスの提供の3分野について、ベストプラクティスを紹介している。

(1)実習プログラムの拡大については、テキサス州ハリス郡、ケンタッキー州ルイビル市、メイン州の取り組みを取り上げている。いずれも、労働組合と協力しながら実習プログラムの拡大や仕事の質向上につなげている事例だ。テキサス州ハリス郡の取り組みでは、テキサス湾岸労働組合と提携した建設分野などでの実習プログラムの拡大や、デジタルスキルのトレーニングに強みを持つ企業と連携したサイバーセキュリティー関連のキャリア支援などを通じて、オポチュニティー・ユース(注)や女性、有色人種、4年生大学の学位を持たない者が高賃金で需要の高い仕事につけるよう取り組んでいることなどを紹介した。

(2)コミュニティーカレッジへの投資については、オクラホマ州の看護教育プログラム分野への投資や、インディアナ州の第4次産業革命に対応した製造業従事者を育成するプログラムへの投資、コネチカット州のメンターシップやコーチングなど学生への助言を通じて、学生の能力を高めるプログラムへの投資の取り組みを紹介している。

(3)支援サービスの提供は、教育・訓練プログラムを受けるに当たってネックとなり得る保育や交通手段といった点についてサポートすることで、より多くの者がプログラムに参加できるようにするもので、アイオワ州の保育サービスへの投資、バージニア州ロアノーク市の子育て・食料援助・住宅支援など広範な生活支援と一体となったプログラムへの投資、アリゾナ州フェニックス市スカイハーバー空港の保育サービスへの投資を紹介している。

(注)16歳から24歳までの若年層のうち、就学・就職していない者のこと。

(加藤翔一)

(米国)

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