韓国政府、EUの炭素国境調整メカニズム(CBAM)開始に備え対応を急ぐ

(韓国)

ソウル発

2023年10月05日

韓国産業通商資源部は9月26日、EUの炭素国境調整メカニズム(CBAM)(注1)による炭素排出量の報告義務が10月1日から課されることを受け、官民合同の企業説明会を開催した。説明会は、産業通商資源部、環境部、中小ベンチャー企業部、外交部など政府各部と、韓国鉄鋼協会、韓国生産技術研究院、大韓貿易投資振興公社(KOTRA)などの関係機関が共同で開催し、CBAMに備えるための準備事項を参加企業に共有し、対応策を議論した。

また、韓国の輸出企業が報告義務を履行するうえで課題が多いことを踏まえ、CBAMに関するガイドラインを産業通商資源部や環境部などが共同で作成し、説明会で配布した(注2)。政府側は「韓国の輸出企業の競争力強化、輸出対象国の多角化に向けて、官民が共同で企業負担を極力抑えていく」と述べ、CBAMの関連法案が今後順次制定されることを踏まえ、韓国の輸出企業が受ける追加負担を最小限に抑えるよう、EU側と協議し続けるとした。

さらに、環境部は10月5日に「EU炭素国境調整メカニズム支援窓口」を設置し、欧州向けに輸出する企業の温室効果ガス排出量算定をサポートする体制を整えた。支援窓口は韓国環境公団が運営し、電話または訪問対応で個別相談を受け付ける予定だ。

CBAMの影響について、ジェトロが在韓日系商社に対してヒアリングを行ったところ、「鉄鋼などCBAMの対象製品について、EUへ直接輸出を行っておらず、現状では影響は想定されないが、当社の販売先の韓国企業がEUに輸出している場合は、追加の資料提供などを求められる可能性も考えられ、動向を注視したい」とし、今後の動向次第では在韓日系企業にも影響を及ぼしかねないことが示唆された。

(注1)CBAMを契機に、貿易担当者もブラック ジャック

(注2)ガイドラインは、産業通商資源部や環境部などのホームページと、国際環境規制事前対応支援システム(compass.or.kr)でダウンロード可能。

(橋爪直輝)

(韓国)

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