マルコス大統領、コメ輸入関税引き下げ提案を否認

(フィリピン)

マニラ発

2023年10月04日

フィリピンのフェルディナンド・マルコス大統領は9月26日、高騰するコメ価格への対応策としての一時的なコメ輸入関税引き下げ提案に対し、反対の意を表明した(政府通信社9月26日付)。同国ではコメの価格高騰が続いており、9月5日発効の大統領令(EO第39号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))によって、1キログラム当たりの価格上限が普通精米(regular milled rice)は41ペソ(約107円、1ペソ=約2.6円)、高精米(well-milled rice)は45ペソと定められている(注)。

政府は、同国のコメ生産量は2023年6月までの半年間で、前年と比較すると増加したと報告しているものの(政府通信社8月15日付)、今後、昨今の台風などによる大雨や洪水の影響で予測よりも生産量が低下することが見込まれており、それに伴う買い占めが長引くコメ価格の高騰につながっているとみられている。一時的なコメの輸入関税引き下げ案は、国家経済開発庁(NEDA)によるもので、輸入によって供給量を増加させることで価格引き下げを図り、最終的には大統領令を解除することを目指している。一方で、国際市場のコメ価格は下落しており、同国でも下落が見込まれることから、NEDAとしても現段階では関税率引き下げ時期として適切でないとの見解で一致したもようだ。

フィリピンは現在、中国を抜いてコメ輸入国の世界トップとなっているものの、米国農務省(USDA)は今回の件から、2023年から2024年にかけての輸入量予測を380万トンから350万トンに修正している(米国農務省9月25日付)。

(注)普通精米はぬか層が20~40%残っているコメ、高精米はぬか層が20%未満のコメのことを指す。

(西岡絵里奈、アセンシオ・アシュレイモイラ)

(フィリピン)

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