日本の対ロ中古車輸出が急減、輸出禁止措置が影響
(ロシア、日本)
調査部欧州課
2023年10月10日
財務省貿易統計(9月28日発表)によると、8月の日本のロシア向け中古車輸出は1万2,062台で、前年同月比42.5%減、前月比で62.4%減となった。日本政府が8月9日にロシアに対する輸出禁止措置を拡大し、その中に排気量1900cc超の自動車(ガソリンエンジン車、ディーゼルエンジン車)、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車(EV)なども輸出禁止品目として追加したことが原因と考えられる()。
日本からの輸出が減る中でも、ロシアの中古車市場は堅調だ。ロシアの自動車市場調査会社アフトスタトによると、8月のロシアの中古車販売台数は55万1,000台で、前年同月比25.6%増だった。ブランド別では、ロシア地場のラーダがトップで、11万6,000台(前年同月比12.2%増)。2位はトヨタで6万9,000台(44.5%増)。韓国の起亜3万2,000台(27.9%増)、現代3万1,000台(20.9%増)が続き、日産は3万台(34.8%増)でトップ5に入った。また、トップ10入りしたブランドの中で最も伸びたのはホンダ(48.0%増)だった(添付資料表参照)。
ロシアの自動車市場では中国車の存在感が高まりつつあるが、中古車市場では現時点で、日本の中古車は一定のシェアを誇る。自動車マーケットプレイスを手掛けるフレッシュのエフゲニー・ジトヌヒン・ディーラー部門長はアフトスタトのインタビュー(8月29日)の中で、中国からの中古車は日本車のシェアを完全に奪うことはできず、ロシアの中古車市場のニーズを完全にカバーすることはできないとの見解を示した。中国製中古車が品質面で日本や欧州のモデルと競争できるかどうかは確実ではないことを理由の1つに挙げた。
2021年のロシアの中古車販売台数は590万台だったのに対し、2022年は486万5,000台にまで落ち込んだ。アフトスタト(10月3日)は、2023年の販売台数は楽観的シナリオで590万台(前年比20%増)、悲観的シナリオでも565万台(15%増)を見込んでおり、前年からの回復を見通している。
(後藤大輝)
(ロシア、日本)
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