EU理事会、COP28に向け、対策講じていない化石燃料の段階的削減をあらためて求める

(EU)

ブリュッセル発

2023年10月23日

EU理事会(閣僚理事会)は10月16日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで11月末から開催される国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)に向けたEUの交渉上の立場を承認したと発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。EU理事会は化石燃料の段階的な削減とともに、再生可能エネルギー能力の拡大を求める方針だ。

まず、EU理事会は、これまでのCOPでも焦点となった石炭火力発電の段階的な削減に関し、二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)などの対策が講じられていない化石燃料による発電の世界的な段階的削減と、化石燃料消費の減少傾向への転換を2020年代のうちに実現する必要があるとの立場で合意した。現地報道によると、西欧を中心に約10加盟国が全ての化石燃料を対象にした段階的削減を求めたが、EUの外交政策の決定には全会一致が必要なことから、化石燃料の活用の余地を残すべきとの東欧などの加盟国などに配慮。結果として、前年のEUの立場(関連ブラック ジャック ブラック)と同様に、対策が講じられていない化石燃料に限定するかたちで段階的削減を求める内容となった。また、化石燃料に対する補助金の段階的削減に関しても、エネルギー貧困や再エネへの公正な移行に資する補助金は削減対象から除くとし、削減時期に関しても、できる限り早期にと明記するにとどまった。

一方で、EU理事会は世界の電力システムに関して、2030年代に完全なあるいは大部分の脱炭素化を目指し、2050年よりかなり前の時期にエネルギー業界の大部分を化石燃料不使用にすべきと強調。石炭火力発電については、費用対効果の高い排出削減策が既に実用化されているとして、石炭火力発電所を新設する必要はないとした。また、EU理事会は2030年までに導入済みの再エネ能力を3倍にし、11テラワット(TW)を目指すとともに、エネルギー効率の改善率を2倍にするために、国際的な行動を求めるとした。

このほか、EU理事会は、2030年の温室効果ガス(GHG)排出削減目標(1990年比で少なくとも55%削減)を達成するための政策パッケージ「Fit for 55」で提案した主要な法案が成立したことを受け()、EUが「Fit for 55」を反映させるかたちでパリ協定の国別排出目標(国が決定する貢献:NDC)を更新したことを歓迎。主要国を中心に全てのパリ協定締約国に対して、COP28までにパリ協定の目標に沿ったかたちで、NDCと長期戦略(LTS)を更新することを求めるとした。

(吉沼啓介)

(EU)

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