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(フランス)
パリ発
2023年09月21日
フランスの最上級行政裁判所の機能を有する国務院は6月30日、容器包装のグリーンドットマーク表示を禁止する2020年11月30日付アレテ(省令)および罰金規定を違法と判断し、同禁止措置を取り消すことを発表した。国務院は2021年3月15日、グリーンドットマークの禁止措置を暫定的に停止していた。
グリーンドットマークはドイツのデュアル・システム・ドイツの商標で、リサイクルのための拠出金を支払っていることを示す。ライセンスを譲渡されたプロ・ヨーロッパがドイツを除く欧州全域で包装のリサイクルをコーディネートしている。フランスでは1993年1月から容器包装のリサイクルが開始され、グリーンドットマークの貼付が義務付けられたが、2015年1月1日から導入されたトリマン・マークに伴い、2017年1月1日からグリーンドットマークの貼付は任意となっていた。
政府は、2020年2月施行の循環経済法(特集:欧州が歩む循環型経済への道ギャンブル)で、廃棄物回収システムにおけるフランス独自の規制として2022年1月1日から、対象となる製品にトリマン・マーク(トリマンは「選別する人」の意)と分別廃棄に関する表示の貼付を義務付けている()。同措置に先立ち、政府は2021年1月1日からトリマン・マークとの混同を招くとしてグリーンドットマークの使用を禁止し、2021年4月1日以降のグリーンドットマークの貼付に罰金規定を設けていた。
国務院は、「禁止の対象を2つ以上の矢印が円に内接して巻き上がる図形としており、多くの欧州諸国で一般的に使用されているグリーンドットマークを間接的に、しかし明確に対象としている」と指摘。環境保護を理由に課されたこの禁止規定は、当該製品の販売に大きな影響を及ぼす可能性があり、EU指令では技術的規則は法案の段階で欧州委員会に通知すべきと規定されている、とした。政府が2020年7月20日に欧州委員会へ廃棄物を混乱させる可能性のある表示は罰則の対象とする当該立法措置を通知していたが、上記アレテ(省令)は通知していないことに対して、通知義務を満たすには不十分と判断した。
なお、欧州委は2023年2月、フランス政府に対し、国レベルの表示要件を課すことはEU域内の商品の自由な移動の原則を損なうリスクがあるとし、トリマン・マークと分別廃棄に関する表示の貼付義務が同原則に適合しているか確認するよう催告しており、今後の動向が注目される。
(奥山直子)
(フランス)
ビジネス短信 6c8f064671491829