1~8月の港湾貨物取扱量、前年同期比8.7%増、北極海航路は輸送能力拡大が課題

(ロシア)

調査部欧州課

2023年09月19日

ロシア商業海港協会の発表(9月13日)によると、2023年1~8月のロシア海港の貨物取扱量は前年同期比8.7%増の6億130万トンだった(添付資料表参照)。9月11日には東方経済フォーラムで北極海航路について会議が開かれ、同航路の現状と今後の輸送力強化などが話し合われた。

貨物取扱量を品目別で前年同期と比較すると、石炭(7.3%増)、コンテナ貨物(7.3%増)、穀物(2.0倍)、鉱物質肥料(1.6倍)、原油(5.5%増)が大きく伸びた。一方で、鉄鋼(18.2%減)、鉱石(29.5%減)、石油製品(7.0%減)、液化ガス(5.2%減)が減少した。海港所在海域別では、アゾフ・黒海域が18.2%増、カスピ海域が37.3%増、極東海域が6.6%増だった。

8月単月で見ると、ロシア海港の貨物取扱量は前年同月比4.4%増だった。前月比では、アゾフ・黒海域、バルト海域の貨物取扱量はそれぞれ前月比10%、2%の増加となった。一方、極東海域、北極海域ではそれぞれ7%、2.5%の減少だった(「インフラ・ニュース」9月13日)。

9月10~13日に開催された東方経済フォーラムで、11日に北極海航路に関する会議が開かれた。極東・北極圏発展省のガジマゴメド・グセイノフ第1次官は、2014年の北極海航路の貨物輸送量が400万トンだったのに比して、2022年は3,400万トンとして、北極海航路の輸送力が急速に強化されたとアピールした。一方で、今後のさらなる輸送能力強化に向けた課題なども議題に上がり、同氏は2024年までに約8,000万トン、2030年までに1億5,000万トンの貨物輸送を省を挙げての目標としていると述べた。国内最大のリース会社の国家運輸リース会社(GTLK)のエフゲニー・ディトリフ社長も、8,000トン級ばら積み貨物船(注1)13隻を発注しているほか、2023年末までにはハンディサイズ船(注2)5隻の建造に関する入札を行う予定としつつも、さらなる輸送能力強化が大きな課題だとした。

(注1)穀類や鉱石類などの貨物を梱包(こんぽう)しないで、そのまま船倉に積み込み運搬することのできる構造を持つ船舶。

(注2)載貨重量トン(D/W)が1万~5万トンクラスの船を指し、ほぼ世界中のどこの港でも入港できる船型。

(後藤大輝)

(ロシア)

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