英政府、ゼロエミッション車販売割合義務付けに関する詳細発表、2024年から導入
(英国)
ロンドン発
2023年09月29日
英国政府は9月28日、2035年までの新車販売のゼロエミッション化を達成すべく、自動車メーカーに対し、一定割合のゼロエミッション車(ZEV)の販売を義務付ける「ZEVマンデート」について詳細を発表した(英国政府ウェブサイト参照)。本制度は2024年から導入され、2035年を100%として段階的にZEVの販売割合を高めていく(各年の割合は添付資料表1参照)。本制度は2023年3月30日から5月24日まで最終化に向けた意見公募が行われており、今回それに対する政府側の対応が発表されたかたちだ。
これに先立つ9月20日、リシ・スナク首相はガソリン車とディーゼル車の新車販売を2030年までに禁止するとしていた方針について、期限を2035年まで延期することを発表した(2023年9月22日記事参照)。一方で、ZEVマンデートについては、ケミ・ベイデノック・ビジネス・通商相が引き続き導入予定であることを確認したと報じられていた(BBC9月21日)。本制度の概要は次のとおり。
毎年、各メーカーの販売台数および当該年の目標割合に応じて、アロウアンス(Allowance)を付与。メーカーは、当該年に販売したゼロエミッションではない乗用車またはバン(非ZEV)1台当たりに対して1つのアロウアンスを使用する。アロウアンスが非ZEVの台数を上回った場合、企業はこの余剰分を他社に販売、または貯蓄(bank)することができる。貯蓄したアロウアンスは3年間使用可能。
反対に不足する場合は他社から購入、または貯蓄分の利用、または将来分から前借り(borrow)することで補填(ほてん)する。前借りについては2024年から2026年までの期間のみ認められており、目標割合に対する利用上限も設定されている(添付資料表2参照)。なお、前借り分については3.5%の「複利」で返済する必要がある。他社からの購入、貯蓄分の利用、将来分からの前借りを行っても不足する場合についてはアロウアンス1つにつき、乗用車は1万5,000ポンド(約273万円、1ポンド=約182円)、バンは1万8,000ポンド(注)を支払わなければならない。
また、非ZEVの二酸化炭素(CO2)の排出規制も含まれている。ZEVマンデートと同様にアロウアンスが付与され、販売した車種の1キロメートル当たりの平均排出量に対して使用する。これについても、余剰分の販売などが認められている。
なお、ZEVのアロウアンスとCO2の排出規制のアロウアンスについては互換が可能とされている。
(注)バンについては2024年のみ9,000ポンド。
(山田恭之)
(英国)
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