習国家主席がBRICS首脳会議に参加、「デカップリング」「経済的威圧」への反対を主張
(中国、南アフリカ共和国、ブラジル、インド、ロシア、アルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦)
北京発
2023年09月04日
中国の習近平国家主席は南アフリカ共和国を訪問し、8月23日(現地時間)に第15回BRICS首脳会議に参加した(会議の結果は2023年8月25日記事参照)(注1)。
会議において習国家主席は、BRICSの協力は将来に向けた重要な段階にあるとして「発展は各国の奪うことのできない権利であり、少数の国の『特許』ではない」と述べ、「デカップリング」や「経済的威圧」に反対すべきだとした。その上で、特にデジタルエコノミー、グリーン発展、サプライチェーンなどの分野で、実務的な協力を行うべきとした。
また、中国はBRICS内での協力強化のため、「中国・BRICS新時代科学技術イノベーションインキュベーションパーク」「BRICSグローバル衛星リモートセンシングデータ・応用協力プラットフォーム」「BRICS持続可能な産業交流・協力メカニズム」などを設立・構築するとした。その他、人工知能(AI)について、ブラック ジャック 賭け 方交換と技術協力を強化するとともに、多くの国が参加可能な国際的メカニズムを構築し、ガバナンスの枠組みと標準の形成を推進すべきだとした。
なお、習国家主席は会議への参加にあわせて、ナミビア、タンザニア、エチオピア、セネガル、マラウイ、コンゴ共和国などアフリカ各国と首脳会談も実施し、協力強化を図っている。
中国外交部の8月28日の記者会見で、今回の会議で決定したBRICS加盟国の拡大(注2)について「世界における正義の戦線拡大だ」と評価し、条件を満たすその他の開発途上国の加盟も歓迎するとした。その上で、引き続き政治的安全、経済・貿易・財政・金融、人的・文化交流による協力枠組みを充実させるとしている。
現地報道をみると、8月25日付の「環球時報」は、「西側諸国はBRICSの団結・協力の決心を過小評価している」と題した社説で、BRICS加盟国の拡大が全会一致で実現したことを評価し、「欧米メディア」による、加盟国間で意見の対立があるという見方や、中国がBRICSを自身の影響力の拡大や欧米に対する牽制に利用しているという報道を批判した。
また、新華社は同日付の評論で、今回の会議にあわせて「BRICS・アフリカおよび新興市場・開発途上国首脳対話」が開催されたことなどを挙げて、習国家主席が提唱した「BRICSプラス」(注3)モデルが機能しているとした。
(注1)習国家主席は、8月22日には南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領と会談を行った(2023年8月24日記事参照)。中国の外交部は訪問の成果リストを発表、王毅外交部長が一連の成果をアピールしている(2023年8月30日記事参照)。
(注2)今回の会議で、サウジアラビア、エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)、アルゼンチン、イラン、エチオピアの6カ国が新たに加盟した。
(注3)中国のいう「BRICSプラス」は、BRICSとその他の開発途上国・新興国との間の協力強化・拡大などを含む。2017年に福建省アモイ市で開催された、第9回BRICS首脳会議で習国家主席が提唱したとされる。
(河野円洋)
(中国、南アフリカ共和国、ブラジル、インド、ロシア、アルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦)
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