省庁再編で国際物流振興と水資源管理を強化
(カザフスタン)
タシケント発
2023年09月08日
カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領は9月1日、大統領令第318号「行政機構のさらなる改善に関する措置について」に署名した。行政機構の近代化と効率向上を図るため、産業・インフラ発展省、ブラック ジャック トランプ 無料・社会発展省、文化・スポーツ省、環境・天然資源省の4省を再編した。
2014年8月に廃止された運輸省(注1)が再配置され、産業・インフラ発展省は産業・建設省となり、同省が所掌していた交通・物流インフラ業務は運輸省に移管された。ブラック ジャック トランプ 無料・社会発展省は文化・ブラック ジャック トランプ 無料省に、文化・スポーツ省は観光・スポーツ省にそれぞれ再編する。また、水資源・灌漑省を新設し、環境・天然資源省が管轄していた水資源の管理と保護を移管する。
トカエフ大統領は同日、上下院合同会議でおこなわれた教書演説で、省庁再編について言及している。この中で同大統領は、交通・物流インフラの整備が国家戦略上、重要課題だと強調。ロシアのウクライナ侵攻による地政学的環境の変化により、カスピ海横断国際輸送路(TCICR、2022年5月26日記事参照)や、南北国際輸送路(INSTC、2023年5月12日記事参照)が重要視される中、カザフスタンが国際物流のハブとしての地位を確立することを目的に運輸省を復活させ、国内外の物流インフラ整備を積極的に進めていく方針だ(大統領府ウェブサイト9月1日)。
新設された水資源・灌漑省により、国の水利行政改革を実施する。急速な都市開発と人口流入による首都アスタナ市の慢性的な水道水供給不足(注2)、雨不足による干ばつと国際河川からの水供給不足による南部での農業被害(注3)など、2023年に入りカザフスタンで水問題が深刻化している。国際河川の中・下流域にある同国の水不足は2040年までに120〜150億立方メートルに達する可能性があり、トカエフ大統領は政府に対し、周辺諸国との調整とバランスのとれた水利政策を通じ、同問題を解決するよう指示した。また、節水技術の導入、水の不正利用者への罰則強化など、効果的な水管理システムの構築を図る。
(注1)廃止当時の省名は運輸・通信省。業務を産業・インフラ発展省の前身である投資発展省に移管するかたちで廃止された。
(注2)アスタナ市で3月下旬ごろから数カ月にわたり市内集合住宅で断水が発生。抗議の住民が道路を封鎖する事態となった(アザティック・ラジオ6月14日)。
(注3)カザフスタン全土で春・夏の降雨が少なく、特に南部ジャンブル州を中心に干ばつにより農作物が発育不良にみまわれた。8月下旬にはキルギス領キーロフ貯水池からタラス川への放水が貯水量低下を理由に停止され、下流の同州で農業用水が不足する事態となった。政府は救済のための補助金を支給した(カピタルKZ8月16、22日)。
(増島繁延)
(カザフスタン)
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