英国、G20で気候変動対策に20億ドル拠出を発表
(英国、インド、モーリシャス、シンガポール)
ロンドン発
2023年09月20日
英国のリシ・スナク首相は9月10日、ニューデリーで開催されたG20サミットで、緑の気候基金(GCF)に対し20億ドルを提供すると発表した。英国の単一の気候変動対策としては過去最大の拠出となる。最も脆弱(ぜいじゃく)な人々の気候変動への適応と影響を緩和できるよう支援することを目的とする。
GCFに対しより迅速な成果を生むことや、金額に見合った価値の創出を示す必要性を強調した上で、気候変動の影響を最も受けやすい国、特に後発開発途上国(LDC)や小島しょ開発途上国(SIDS)への援助のさらなる改善を求めた。
スナク首相はまた、国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)に向け、各国首脳に自国の二酸化炭素(CO2)排出削減と気候変動の影響を受けやすい経済を支援すべく、協力するよう呼びかけた。英政府は、英国がクリーンエネルギーへの移行を主導し、G7の中でCO2排出量を最も早く削減していると説明している。
スナク首相はG20に合わせて、インド、モーリシャス、シンガポールの3カ国とそれぞれ首脳会談を行った。モーリシャスのプラビン・クマール・ジャグナット首相との会談では、英連邦(コモンウェルス)加盟国として貿易拡大や気候変動対策、共通の関心分野での協力強化を議論。加えて、英領のインド洋地域とチャゴス諸島での主権行使に関する交渉の進展状況も評価した。両国首相は近く再度会談することで合意した。
スナク首相は9日、インドのナレンドラ・モディ首相との会談で、G20を通じて議長国のインドが世界的に重要なリーダーシップと影響力を示したとして祝辞を述べた。また、2022年から継続している英・インド自由貿易協定(FTA)の交渉について議論、FTA締結に向けた英国の決意をあらためて表明した。
シンガポールのリー・シェンロン首相との9日の会談では、同日締結した英国シンガポール戦略的パートナーシップ()について、英国のインド太平洋地域を重要視する姿勢を示す最新の事例だと述べた。そのほか、人工知能(AI)の課題や可能性を議論し、対策に向けた国際協力の必要性にも合意した。
(チャウジュリー・クリシュナ)
(英国、インド、モーリシャス、シンガポール)
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