重要原材料法案が成立へ前進、産業界も早期成立呼びかける

(EU)

ブリュッセル発

2023年09月20日

欧州議会は914日、欧州委員会が3月に提案した重要原材料法案(2023年3月22日記事参照)の議会としての修正案となる「立場」を採択した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。EU理事会(閣僚理事会)は630日に立場を採択しており、今後、両者は法案成立に向けて交渉を行う。欧州委のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長が913日の一般教書演説で同法案の早期成立の重要性を訴え(2023年9月14日記事参照)、欧州議会も2023年内の理事会との政治合意に意欲的だ。

産業界も、早期成立を促すとともに、企業負担の軽減や供給源の多元化などの点で法案の修正を求めてきた(2023年3月24日記事参照)。欧州自動車部品工業会(CLEPA)は912日、欧州委の法案はサプライチェーン強化に向けてさまざまな手段を提示したと評価する一方、サプライチェーンの監視や企業の報告要件などに重点を置き過ぎていると指摘(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。企業の資金調達支援や戦略的原材料の共同購入の枠組みについて、企業支援の役割を担う監督機関を定め、法案の実効性を高めることや、原材料の抽出・加工関連部門での投資リスクを軽減し、サプライチェーン全体で協力関係を促進する枠組みを策定することなどを提言した。また、法案は重要原材料の循環性向上も目標とするが、自動車部門は規制の重複を避けるため、永久磁石を例として挙げて、自動車設計・廃車管理での持続可能性要件に関する規則案(2023年7月20日記事参照)のみで特定の製品の循環性要件を定めるべきだとした。

ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)は914日、欧州議会の修正案で許認可の迅速化と企業負担の軽減、供給源の多元化に向け、通商相手国・地域と連携強化が重視されたことを特に評価(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。法案を可及的速やかに成立させ、重要原材料の供給拡大によって、EUを原材料市場でさらに強力なプレーヤーにしなければならないと訴えた。

(滝澤祥子)

(EU)

ビジネス短信 04ad07b424f30704