UBS、連邦政府による保証措置を全て解消
(スイス)
ジュネーブ発
2023年08月17日
スイス連邦財務省の8月11日の発表によると、スイス最大の銀行UBSは同日、90億スイス・フラン(約1兆4,940億円、CHF、1CHF=約166円)の連邦政府による損失保護保証に関する合意と、流動性支援融資を確保するための1,000億CHFを上限とする連邦政府保証に関するスイス国立銀行(SNB、中央銀行)との合意を最終的に解消した(プレスリリース)。これらは金融の安定を維持する緊急条例の下で設置された措置だったが、解消により、スイス連邦や納税者はこれらの保証から生じるいかなるリスクも負うことはなくなった。さらに、スイス連邦はこの保証により約2億CHFの収入を得たとした。
2023年3月にクレディ・スイス(CS)が深刻な信用危機に陥った。このため、連邦参事会(内閣)、SNB、金融市場監督庁(FINMA)は3月中旬、スイス経済を保護し、損害を回避するために介入する必要があった。連邦参事会は3月19日にUBSによるCS買収を可能にする一連の措置を採択した(スイス国立銀行、ブラック ジャック)。UBSによる迅速な買収とそれに伴う政府の措置により、金融システムを長期的に安定させることができた。
UBSは8月11日、連邦政府による損失保証を利用しないことを発表するとともに、CSとSNBとの間の連邦政府による債務不履行保証付きの流動性支援融資に関する契約も、代替措置なしに最終的に終了した(プレスリリース)。その結果、これら2つの保証に関する緊急条例も廃止された。
金融市場をさらに安定化させるため、連邦参事会は公的流動性に関する安全措置(バックストップ、PLB)を導入する法案を議会に提出する意向だ。これと並行して、「大き過ぎてつぶせない(too-big-to-fail)」規制の枠組みの包括的な見直しに向けた作業も継続している。
(竹上嗣郎)
(スイス)
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