EU、ルーマニアの強制的電子インボイス制度を承認
(ルーマニア、EU)
ブカレスト発
2023年08月09日
EU理事会(閣僚理事会)は7月25日、ルーマニアにおける付加価値税(VAT)徴収のための電子インボイス制度の義務化に対する特別措置の導入を承認し、同27日付EU官報に掲載された。
EUはVATの共通システムに関するEU理事会指令2006/112/EC(VAT指令)を基盤に、EU域内におけるVAT徴収システムの統一的な運用を目指している。VAT制度のデジタル化推進などを盛り込んだ2022年12月の欧州委員会のVAT指令改正案(2022年12月12日記事参照)は審議中で、現行のVAT指令では218条と232条にインボイスを紙または電子で発行することとなっている。
今回の特別措置により、ルーマニアはVAT指令改正案に先行して、法人間で強制的に電子インボイス制度を実施するかたちとなる。特別措置期間は2024年1月1日から2026年12月31日まで。ただし、特別措置の期限である2026年末または、それ以前に改正VAT指令が採択されてそこで示された加盟国の法整備期限のほうが早ければ、その期限までとなる。また、電子申告の義務化により不正行為の防止やVAT徴収の簡素化が図られ、申告企業の手続きとコスト負担が軽減されたことがルーマニア政府からの報告書で示されれば、特別措置期間の延長もあり得るとした。
ルーマニア財務省と税管理庁(ANAF)は2020年3月に強制的電子インボイス制度「RO e-Factura」プロジェクトを立ち上げ、電子申告の試験的導入を図っている。財務省は今回の承認に関するプレスリリースで、義務化の対象となる課税事業者の業種や施行時期については今後、決定していくとした。
(高崎早和香)
(ルーマニア、EU)
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