宇宙開発スタートアップのQPS研究所、米ロケットラボと衛星打ち上げ契約締結
(米国、日本、ニュージーランド)
調査部米州課
2023年08月28日
日本の小型人工衛星の研究開発企業のQPS研究所は8月18日、ロケット打ち上げ企業の米国ロケットラボ(カリフォルニア州ロングビーチ)と衛星打ち上げに関する契約を締結したと発表した。この契約を受け、QPSの小型合成開口レーダー(SAR)衛星(注1)5号機はロケットラボのロケット「エレクトロン」から発射されることになる。ロケット打ち上げの契約を結んでいた米バージン・オービットが2023年5月に事業停止となったことを受け、新たにロケットラボと契約した。
QPSは九州大学発の宇宙開発スタートアップとして2005年に設立され、2018年にJ-Startup(注2)に認定された。2025年以降に36機の衛星コンステレーション(注3)を構築し、約10分間隔の定点観測や、得られたデータから抽出した微小な変化などのデータ提供を目指している。現在1号機と2号機、5号機より前に米国の航空宇宙企業スペースXのロケットを用いて打ち上げられた6号機を運用している。6号機は7月25日に、日本最高となる分解能46センチ(注4)の画像取得に成功している。3号機と4号機は2022年の打ち上げ失敗により喪失した。
打ち上げを行うロケットラボは2006年にニュージーランドで設立され、2020年に本社を米カリフォルニア州に移した。初めての打ち上げは2018年で、8月23日までに39回の打ち上げをし、170基の衛星を宇宙に送っている。バージニア州に1カ所、ニュージーランドに2カ所の計3カ所の発射場を持っており、QPSの衛星はニュージーランドから9月以降に打ち上げられる予定となっている。
(注1)マイクロ波を地表に照射し、その反射から地形などのブラック ジャック 確率を取得する。従来の人工衛星と比較して、天候や時間などに左右されない利点がある。
(注2)日本のイノベーション政策の一環として、2018年に経済産業省主導で立ち上げたスタートアップ企業の育成支援プログラム。経済産業省、ジェトロ、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が事務局を務めている。詳しくは、J-Startupオフィシャルサイト参照。
(注3)中・低軌道に打ち上げた多数の小型非静止衛星を連携させて一体的に運用する仕組み。
(注4)観測衛星に搭載されたセンサーが地上の物体をどれくらいの大きさまで見分けることができるかを示すもの。分解能46センチは、地上にある46センチのものまで見分けられることを意味する。
(谷本皓哉)
(米国、日本、ニュージーランド)
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